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2005年9月23日 (金)

脊髄小脳変性症・神経細胞死

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脊髄小脳変性症の症状については、幾つかの事をお話ししてきました。

では、なぜ、そのような症状が出てきてしまうのでしょう。

その鍵は、アポトーシス(apoptosis)によるプログラム神経細胞死(programmed neuronal cell death)です。

神経細胞は、肝臓や筋肉の細胞のように細胞死と再生を繰り返す臓器ではありません。

最近になり、神経細胞も再生していることが知られるようになりましたが、基本的には神経組織は再生能力に乏しい臓器です。

そのため、神経細胞にダメージを与える環境にさらされ続けると、神経細胞は静かに死んでいってしまいます。

細胞が死んでいく「細胞死」にはアポトーシスと言うものとネクローシスというものがあります。

生きている細胞が何らかの理由で死ななくてはいけない場合(多くの場合、宿主の人間そのものの存在を守るため)二通りの方法があると言うことです。

私たちの細胞は、生きていくプログラムだけではなく、死んでいくプログラムも用意されているのです。

ウイルスに入り込まれてしまったとき、
自分が年老いて新しい細胞と交換しなくてはならなくなったとき、
沢山創られて淘汰されたとき など、
細胞は周りに迷惑をかけないように死んでいくプログラムのスイッチを入れます。
そういった、系統だったプログラムされた細胞の死をアポトーシスと言います。

プログラムされた制御された細胞死であるため、プログラム細胞死とも言われます。

生きている細胞の中では核のDNAから盛んに遺伝子情報が読み出され、沢山の物が創られ、排泄され活発に活動しています。

アポトーシスのスイッチを自分で入れた細胞は、それらの動きを止め、細胞自体が小さくなり、最後はDNAが断片化されていき、機能を停止します。

最後に、核は散り散りになり(核の断片化)、細胞も小さな粒にこわれていきます。
細胞を包む膜は最後まで残っており、周りに迷惑をかけることはありません。

その後アポトーシスに陥った細胞はマクロファージと呼ばれるお掃除細胞に食べられたりして、無くなって行きます。

こうやって、私たちの体の中では、細胞が生まれ、死に、総体の個としての人間の姿を保っているのです。

一方、ネクローシスは細胞の意思(周到に準備された死へのプログラム)と関係なく、細胞が死ななくてはならない状態をさします。

たとえば、やけどをして、組織が死んでいく時や
急に血管が詰まってしまって組織が痛んでいく時、
外から組織がつぶされて、こわれていくときなど、細胞は自分の中に用意されているプログラムを使える機会も与えられず死んで行かざるを得ません。

これがネクローシスです。
ですから、そのようなネクローシスに陥った細胞からは周りの細胞を傷つける物が沢山放出されてしまう。

ですから、血行障害による組織のネクローシス、壊疽(えそ)はその後のその毒性により、重篤な状態に陥るのです。

のちほど、少し前の論文、「中枢神経疾患における細胞死」細胞2003年8月号について書いてい見ても良いかもしれません。あるいは他の論文でも良いかもしれない。 

じつは、脊髄小脳変性症の患者さんの脳では、神経細胞のアポトーシスが進んでいるのです。

それでは、なぜ、アポトーシスが進んでしまうのでしょう?

遺伝性脊髄小脳変性症で、その解析が進んでいます。
遺伝性脊髄小脳変性症の方の病気に関連する遺伝子が確定されると、
その遺伝子が作るタンパク質が特定できます。

すると、通常無いタンパク質を調べることで、神経細胞死のメカニズムに迫れると考えられているからです。

孤発性脊髄小脳変性症のメカニズムと共通するものもあるかもしれない。
次回は、どのような研究が進んでいるかについてお話ししましょう。

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