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2005年9月29日 (木)

大間違いのテレビ番組・神経内科と脊髄小脳変性症と過換気症候群

TBSテレビの 本当に合ったもうひとつの世界の中心で愛をさけぶ は医学的に問題が多すぎてよくなかった。

なんと、過換気症候群の発作で命を落としたような番組だったのです。

しかも、受診したのが神経内科。

出演されたご本人方に罪はありません。
医学的誤り以外のストーリーは感動すべきものでした。

男性の優しさが伝わる良いお話でした。

問題点は、ひたすら医学的検証を怠ったTBSに問題があると考えています。

過換気症候群は以前のコラムでもご紹介しましたとおり、血中の溶解炭酸ガスの減少により引き起こされる状態です。

命にかかわることはほとんどありません。

ほとんどの場合、ご自分や周りの方が対処できるものなのです。

救急医療でも過換気症候群の出動が多くて問題になったことがありました。
まず、自分で対処するのが大切なのです。

不安発作から過換気症候群になられる方が多いのに、さらに不安をあおるような事実誤認に基づく番組はひどすぎる。

救急医療体制にも悪影響を及ぼすでしょう。

しかも、自分で対処しようとがんばっている過換気症候群で悩まれている方を無視した番組といえます。
不安を増長させてしまった。

過換気症候群のためにうつ伏せで寝てしまい、窒息したというストーリーでしたが、納得しがたいものです。

なぜなら、たしかに、重症の過換気症候群では意識がもうろうとされるかたもいらっしゃいます。

でも、救急外来でペーパーバック法を用いて数十分で改善することがほとんどです。

過換気症候群で大人がうつ伏せで窒息するほどの昏睡になることはないのではないでしょうか。絶対に無いとは言い切れないと思いますが・・・

百歩譲って、万が一呼吸が止まったとすると、炭酸ガスが蓄積し、過換気症候群の症状は改善するはずです。

嘔吐物による窒息、あるいは薬物による昏睡ならありうるかも知れない。

何か大切な情報が欠けてしまったのでしょう。

さらによくなかったのは、過換気症候群の治療をするのが、神経内科だったこと。

過換気症候群は脳や脊髄の病気から起きるものではなく、心因性のものですから、治療に当たるのは、心療内科あるいは精神科です。

もともと混乱を引き起こしやすい名前のところに、追い討ちをかけてしまった。

私たち神経内科は脊髄小脳変性症などの、中枢の疾患を扱う内科医です。
訂正を出していいただきたいぐらいの気持ちでいっぱいです。

以前も書きましたが、オリコンチャートでも神経内科と精神科は同じカテゴリーでした。

これも検証不足です。

医療的な誤認から、視聴者や医療体制に大きな混乱を与えた点において、この番組の罪は重いといえます。
 

ゴールデンタイムのテレビの内容がこれでは困ったものです。

日本では、自分の身を守るため、質の良い医療情報を得る方法を知らなくてはいけなくなってきているのかもしれません。

医療番組でないから、事実と異なって良いということかも知れませんが・・・

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