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2005年11月 3日 (木)

経鼻経管栄養

食事を口から食べることを経口摂取といいますが、脊髄小脳変性症の症状が進行すると、経口摂取が難しくなることがあります。

そういった場合、経鼻経管栄養という方法をとることがあります。

これは、鼻から柔らかな細いチューブを胃まで通して、そこにミキサーした食事や、栄養剤を注入する方法です。

経鼻チューブの挿入はベッドサイドで行えます。特別な手術などは必要ありません。

まず、潤滑ゼリーをまとわせた柔らかなチューブをどちらかの鼻孔に挿入します。次に、少しずつそのチューブを奥へ送りながら、ご本人に嚥下動作を繰り返してもらいます。うまくいけば、するすると食道側へチューブが入り、無事先端が、胃へ到達します。

チューブ挿入が最も難しく、事故がおきやすいのはこの食道側へチューブが進むかどうかの点です。人ののどの奥では、空気の出入り口であり、肺へと続く『気管』という道順と、食べ物の入り口であり、胃へと続く『食道』という道順の二つの道が合流しています。我々は無意識に空気を吸うときには気管へ、食べ物の時には食道へと選別しています。

脊髄小脳変性症では、その選別がうまくいかないために、食べ物が肺に入ってしまい、誤嚥性肺炎を起こしてしまうわけです。

小脳が、脊髄が、パーキンソン症候群が・・・というより、脊髄小脳変性症ではそれらがあわせ技でこの病気の一つの症状として、嚥下障害が出てくるのです。

胃にチューブが到達したかどうかは、チューブに勢い良く少量の空気(20-30ml)を挿入し、胃液の中を空気が混ざる独特なブクブクあるいは、ブクッ!という、泡沫音を聴診器で聴取することが多いです。

でも、誤って肺内に留置されてしまった際や、食道の途中に先端が「とぐろを巻いている」様な状態でも、胃内と非常に紛らわしい音が聴取されることが知られています。

そのため、レントゲン撮影にて確認することが推奨されています。在宅医療では、レントゲン撮影を行うことは不可能ですから、泡沫音の確認とともに、逆に陰圧をかけて胃液の逆流も確認するなど細心の注意が必要です。

経鼻胃チューブが挿入されていても、口は塞がれませんし、食道の径の大きさははチューブより大きなものなので、誤嚥を起こさない程度に経口摂取は可能です。ただ、食べるものは、医師やリハビリテーションスタッフと相談し、どのようなものなら大丈夫か良く検討する必要があります。

胃チューブは誤嚥を防ぐものではないからです。

このように比較的簡易な処置で可能な経鼻経管栄養により十分な栄養を摂取することができますが、いくつかの難点もあります。

一つは、チューブの不快感です。チューブを顔面に固定せざるを得ないため、不快感やテープによるかぶれなどは避けられません。また、鼻孔内、食道、胃にチューブの圧迫による潰瘍が出現することがあり、長期連用には限界があります。

胃チューブを挿入していても、栄養注入による唾液の増加や痰の排出の効率の悪化より、誤嚥の危険は完全に取り去られたものではないことに留意する必要もあります。

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