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2005年12月 4日 (日)

攻殻機動隊とイノセンス

昨日やっとイノセンスを観ることができました。

B0000APYMZ イノセンス スタンダード版
士郎正宗 押井守

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Ghost in the shellという意味がやっと分りました。

人の意識や、自分であることというのはどういうことかという事が良く分る大変に面白いものでした。音楽もいい。

もともと攻殻機動隊が大好きだったので、良かったです。

失踪してしまった草薙少佐は電脳の中の情報として生き続けており、形は無くともどこかに存在する。
そして主人公を助ける。

私たちの『スピリット』や『精神』といっているものは、この世界では『ゴースト』(お化けという意味ではなく、実体のない精神)と呼ばれています。

人工の肉体や電脳といったハードと精神という人間がもともと持っていたソフトの部分(ゴースト)を対比させた概念だと思います。

人間の存在といったものはいったい何かを問いかける作品だと思いました。

じつは、このようなサイバーな場所でなくとも、私たちには『ゴースト』は宿っていると思っています。

何回も見返している『1984』や『未来世紀ブラジル』あるいは『フェノミナン』と連続しているテーマです。

1984
B00005H554
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starsジョージ・オーウェルの原作を映画化

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B0001LNNAC フェノミナン
ジョン・トラボルタ ジョン・タートルトープ キーラ・セジウィック

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B000657R7I 未来世紀ブラジル
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たとえば、尊敬する患者さんのために力を注ぐ先輩の先生がたから、私は研修医や若い医師のころ、熱血指導を受けました。

熱血というと聞こえは良いですが、(詳細はかけませんが)言葉と物理的な指導を受けました。

怒鳴られるなんて言うのは序の口でした。

寝ずに書いた文章を、理由を教えてもらうことなく破り捨てられたこともあります。

受け取ってもらえるまで自分で問題点を洗い直し、また書き直すのです。
ワープロが出始めの頃でしたので、何回も清書を繰り返した覚えがあります。

凍えるラボで、独り酢酸くさい中、検体の染色を一晩中ビーカーをかき混ぜながら続けたこともあります。

そういった中でも、夜は明け、外来はやってきます。
不眠不休で疲れていても、笑顔をキープし、ぐっすり寝て体調万全のスタッフたちと一緒にチームを組み、患者さんに不快を与えない訓練をしていたことになります。

その当時、私は、自分の疲れが外に出てしまったら負けだと思っていました。
今の年齢で同じことをしたら、その日のうちに死んでしまうでしょう。

病院は戦場だと思っていました。

しかし、人の健康を守るということはそれぐらい厳しいものだと思っていましたから、当然だと思い、また、そういった経験が、先輩方の『ゴースト』を私に宿らせたのだと思っています。

今の若い先生に同じ事をしたら、嫌われるだけなので、できませんが。

実は、電気回路である私たちの脳にはこういう風にゴーストが宿っていると考えることもできます。

脳にも電気回路が組み込めるようになってきたとき、私たちの心の境目はどこになるのでしょうか。

実は、美容整形を繰り返し、最初の顔かたちと全く異なってしまうと、心のアイデンティティが保てなくなる方がいることが報告されています。
肉体というハードの変貌ですら、心の境目をあいまいにしてしまう。

自分で無い形で無くなった後の自分。

脳そのものに『整形』を加えられるような世の中になったとき、私たちのアイデンティティはどこになるのでしょうか。

私たちのもっとも大切とする『人格』は保たれるのでしょうか。

彼らが属する公安9課をを統率するのは、電脳化されていない生身の人間であるというところも、面白いところです。

脳も肉体も電子的に改造された主人公のバトーが、なぜ、そんなに無茶をして、不正を暴いていくのか問われたときに、彼は言います。

『ゴーストがそうさせるのさ。』
人格そのものが、その人らしさを形作る最後の核となる砦であることを意味しています。


なぜ、小説化が小説を書くのでしょう。
なぜ、歌を歌うことに命をささげる人がいるのでしょう。
なぜ、楽器を弾くことに、あるいは、音楽を指揮することに命をささげる人がいるのでしょう。
なぜ、宇宙を目指す人がいるのでしょう。

そして、それらを見聞きして、また、それらの人たちの志を受け継ぐ人がいるのでしょう。

私たちには、それらは社会でも有益な良いものとして、人間の肉体を超えて受け継がれていく精神、『ゴースト』が宿っていると考えられます。

医師にもいろいろなタイプの人がいます。

なぜ、医師が社会にいた方が良いのか。
それは資格を持った人が、医療作業したほうが心配が無いからなのでしょうか。

私は『人々が病める人を癒す人を求めているから』だと思っています。
それが原点。
その原点から軸足がずれると、テレビでとんでも発言をする医師に成り下がってしまいます。

なぜ私がこういったひたむきな、古いクリニックのスタイルの医療が好きなのか。

その答えはバトーと一緒です。
『ゴーストがそうさせるから』 です。

Gohst in the shell
殻の中のゴースト、それは、肉体を着た精神である人間そのものを指した言葉だったのです。

イノセンスをみて、やっと今頃そのことに気づきました。

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