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2005年12月27日 (火)

冷静になりましょう/ パンデミック アウトブレイク/ 新型インフルエンザとタミフル

今一度冷静になりましょう。

国家規模で、タミフルの備蓄のために多額の資金投入が行われる予定のようです。

確かに、新型インフルエンザウイルスは大変に大きな脅威です。

でも、なし崩し的にタミフルの備蓄を進めるだけでよいのでしょうか。

抗体酵素の発明や、
どのインフルエンザにも効果を持つM2タンパクに対する抗体も開発されつつあります。M2タンパクはどのインフルエンザにも共通ですが、もともとヒトが抗体を作りにくかったものです。ですから、H5N1にも効果が期待されています。

同じ資金をこういった、耐性のない治療法へ傾ける必要は無いでしょうか。

タミフルの副作用は小児科学会が責任を持って、ほとんど無いと発表したので、それを信じることにしますので、それ以外の問題点を考えて見ましょう。

問題は、薬剤に有効期限があることと、薬剤耐性の問題です。

もし、今年備蓄を進めて、流行しなかったら、期限切れのタミフルを皆さんは捨てられますか?

たぶん、何億円かの金額になるでしょう。

来年も同じだけ、毎年買い続けることができるでしょうか?

新型インフルエンザの危険性は今年が特に高いのではなく、今後、年々高まっていくと言う事を忘れてはいけません。

そして、薬には有効期限があると言う事も忘れてはいけません。

どんどん備蓄を進めるのでしょうか。
毎年、沢山の薬剤を捨てて新しいものを買う覚悟なのでしょうか。
もし、そうであるなら、それでよいです。
その財政的余裕のある日本国である事を誇りに思います。
ある程度の備蓄は僕も必要だと思います。

普通の薬剤は、適切に保存したとして、一年から一年半です。
タミフルのカプセルは突然、三年になりましたが、ドライシロップ(子供用タミフルの粉末は一年)だそうです。

たぶん、備蓄した場合、毎年買いなおすことになるでしょう。

新型インフルエンザの危険性は今年だけではないのです。

今年、数万円でタミフルを購入された方とお話いたしました。彼女は、「えっ、冷蔵庫なら、何年か持つかと思った。」と言われていました。

どの薬にも箱の外側に有効期限が打たれています。
個人輸入では、それがないので、良くわかりません。
本物でも、2年前のものかもしれません。

もし、備蓄をすすめるなら、長期的な計画を持って、どうしたらよいか考えていくことが大切だと思います。

はやったウイルスがタミフル耐性だったら、その時点で、それまでの投資と手持ちの薬剤の全ては無に帰します。

繰り返しますが、インフルエンザのお薬には、タミフルだけでなく、リレンザという優れた吸入薬もある事も銘記して置いてください。
ところが、これらの薬剤を比較した、費用対効果を考えたニュースは余り見受けられません。


タミフルは有用な薬だと思っています。

ですが、「パンデミックアウトブレイク
の時に、「散発する患者さんへのクリニックの対応と同じ対応でもよいのでしょうか。

たとえば、
備蓄していても、内服するタイミングはいつにしたらよいのでしょう。
発症した順に内服していくのでしょうか。
一人でも発症したら、地域住民全員に予防投与するのでしょうか。
だったら、何日のみ続けるのでしょうか。
アウトブレイクは散発的に起こるはずです。
タイミングは一致しないはずです。
内服のタイミングは狭い地域でも一致しないでしょう。


飲み終わってやれやれと思う頃に、外から感染者がやってくるかもしれません。
手持ちの薬はもうありません。

他の地域の薬剤を分けてもらうネットワーク、作っているのでしょうか。

対応が、全く不明です。

どうも、長期的ビジョンが欠けている気がしてなりません。
効果がないかもしれない少しの薬(でも、数億円をかけたのでちょっとお金を使った気持にもなれる)を備蓄して終わり、というのも全体を見渡してシステムを作るのが苦手な日本を象徴しています。

この問題は、医療機関だけでなく、国民が自分で感染爆発が起きた時にどうしたらよいか考えることでもあり、自然災害のトリアージともつながります。
日本が生き延びていくために、ぜひとも議論が深める必要があります。

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