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2006年3月 7日 (火)

ドミノ辞め

ドミノ辞め

私はこの言葉を創りたいと思います。


医師を取り巻く環境が急速に悪化している事は時々お知らせしました。

人間の限界を超えた長時間労働と低賃金、そして訴訟のリスク。

医師が高収入であったのは過去の話です。

病院崩壊があちらこちらで始まりました。

私は医療を正しい道に改善するための報道は否定しません。

しかし、医療機関を社会保障の見地から育てる報道と言うのを見ることはまれです。
バランスから考えるとメディアはやはり医療機関の否定的なものを報道しがちです。


その結果、医師たちはリスクの少ない科へ、賃金がもっと低くとも体が楽な仕事へ急速にシフトしているのです。

大学批判のあおりも受けて、大学医局も崩壊しつつあります。

そして、公立病院から勤務医の離脱が始まりました。

ドミノ辞めの始まりです。

ドミノ辞めとは、例えば5人でチームを組んでいた内科で1名の先生が急に辞めたとします。

すると、残り4人が5人の仕事をする。

倒産の限界にある多くの病院は限界ぎりぎりの人数しか病院は医師を雇っていません。そのため、残りの先生の労働は想像を絶する状態になります。

通常、ほぼ連日当直のような状態になってしまう。

『すぐに次の先生がきますから』といわれてもなかなか人員が補充されない事が多い。

つらい勤務の中で、残りの先生がまた一人体調不良になる。

残りは3人ですから、もう業務できません。
そして、いっぺんにやめてしまう。

ついに一つの科(たとえば内科)が消滅する。

これまでの人材の元になっていた大学も批判のあおりを受けて、入局者が激減し、人を送れません。

いわゆる、大学の総引き上げといわれるものですが、人がいないためどうしようもない状態です。

内科(あるいは他の科でも)がなくなると、病院が回せなくなりその病院自身が消滅する。

また、こういった様子を医師も知っているので、欠員募集の人材募集があっても応募できません。

その病院がなくなると、他の病院もその病院の診療分をかばいきれなくて消耗し、消滅する。

これが、私が提言するドミノ辞めや医療システムのドミノ崩壊です。

医師も普通にご飯を食べて、トイレに行って、普通の時間睡眠を取って、つつましく暮らしたいと思っています。

それが実現できない。生活ができない。

やる気があって、患者さん思いでも、生きられなければ仕事ができません。

私は、大学は専門性の高い難しい疾患を究明し、新たな治療法を研究していく学問の府としての意味が大きいと思っています。

大学医局にこれまで頼ってきた面のある社会保障システムは今後どうすればよいのでしょう。

地方の病院では、何とか医師を確保するために法外な報酬を用意し始めたりしていますが、医師が求めているのはお金ではなく、普通の生活なので、応募者は少なく、長続きしません。
また、税金の大きな負担となり、決して良い解決策ではありません。

医療の社会保障システムが崩壊のあおりは国民に跳ね返ってきてしまいます。

何か良い手立てを急いで考える必要があります。

これから、公立病院の崩壊が引き続き起きて、一つの引き金を引き、大きな社会問題になるような気がしてなりません。

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