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2006年3月12日 (日)

利休七則

花は 野にある様

炭は 湯の煮ゆる様

服は 加減のよき様に

夏は涼しく、冬は暖かに

刻限は早めに

降らぬとも 雨用意

相客に 心をつけ候

これは利休七則というもので、昨日教わりました。

これは、茶の湯の心得というもので、もてなしの気持ちを表したものです。

なんと、ほとんど全ての私たちの生活に当てはまる事です。

医療にもし、この心が取り入れられれば、素晴らしいでしょう。

花は 野にある様
病気の本質にせまり(クリニックに於いては花は病気や悩みでしょう)簡潔にその解決策を示し、静かに患者さんと共有すること。

炭は 湯の煮ゆる様

段取り良く、患者さんを待たせないように資料を用意したり、時間を作る。なかなか日本の医療では難しいですが、大学病院のときのように診察中に何本も電話がかかってきて、患者さんとお話できないという状況はクリニックでは減りました。
大学病院のときには、外来をやりながら、研究室の実験の指示、研修医の先生のチェック、入院病棟のアレンジ、紹介患者さんの整理をいっぺんにやっていたからです。
茶の湯をやりながら、携帯電話でお話しすることはありません。
医師が患者さんと静かに向き合うだけにしたいものです。
時間に追われて、外来に走っていくのはつらいものです。


服は 加減のよき様に

この場合の服は、「ここで一服」のように、お茶の意味です。
加減のよき様にとは、相手の立場、その時の状況を勘案し、適切な「場」を用意しなさい と言う事です。
励ますつもりの「大丈夫ですよ」という言葉も、状況によっては、冷たく聞こえる事もあります。
同じ患者さんでも、その時その時の気持ちと言うのは微妙に変っています。
人の心の機微や、状況と言うのは刻々と変化しています。
同じクリニックの空間であっても、患者さんのその時の状況に応じて、全く違う雰囲気に変えられるような技術が医師には必要でしょう。


夏は涼しく、冬は暖かに

患者さんがクリニックに入ってきたときに、「ああ、ここは明るいですね。」「消毒薬のにおいがしない」など、おっしゃられた事もあります。逆に「暑すぎませんか?」とか「寒いです。」とお聞きした事もあります。中にずっといる人と、外から入ってきた人では体感温度も感じも違うでしょう。
また、「どんなところなんだろう?」と不安な気持ちで踏み入れる時には、いつもとは違う感じで感じられるかもしれません。
患者さんにとって、どう見えるか。どう感じられるか。
その視点に立っていろいろな環境を整えなくてはなりません。


刻限は早めに
これは素晴らしい教えです。
この刻限の時計は、電波時計の示す正確な時計ではありません。
それぞれの人の心には時計があります。
なんてせっかちな人なんだろう。
なんてのんびりした人なんだろう。
それは、それぞれの人の時計の相対的ずれを示しているのです。
自分の相手を思いやる時計が早ければ、いつも相手が望むものを先回りしてもてなす事ができます。
医療はどうでしょう?
患者さんが困るまで待って、口をやっと開いてくださって、「先生、・・・してください」とおっしゃっるまで追い詰めているかもしれません。
それなのに、「でも、うちの病院ではそれは許可されてないんだよね。」とか、「必要ないよ。」とか、いつも医師の心の時計の方が遅いのではないでしょうか
この言葉はズバッと私の心に刺さり、申し訳ないと思い、頭を垂れました。


降らぬとも 雨用意

「このMRIお渡ししますから、もっているといいですよ。」私は小さな脳梗塞で通院中の患者さんにお話したことがあります。
数ヵ月後、その患者さんは少し麻痺が進んだかも知れないと感じて、救急病院へ行きました。前回のMRIを持っていたので、比較することが直ぐにできて、適切な加療を行う事ができて、今も私の外来に通っています。
「あの時、いらないと言うのにMRIを私に押し付けてくれてありがとうございました。」患者さんはおっしゃいました。
雨。
その人に、いつ降ってくるかわからない物です。
ここは晴れていても、海沿いでは雨が降っているかもしれない。
未来を予測し思いやる心。
それが大切です。


相客に 心をつけ候

これまでの6つの要素を形だけ、上面
だけなぞる事もできるでしょう。
でもそれが、儲けのためであるとか、名誉のためであるとか、そういったものでは、詐欺と一緒です。
なんとそんなものが多いことか。
食品添加物の本のときにも話しましたが、もともと肉の形も味もしていないものを混ぜ物をして固めて「人工肉」にして売るなんて形だけを整える典型です。
そう考えるとこのことばは厳しい事を医師に突きつけています。
「患者さんを思いやる心なくして診療をするな」
そういうことです。
今、医療コンサルタントさんにいろいろな事を聞くと、この周辺に住まわれている方や平均年齢や近所のクリニックとの競合などについては詳しく教えてくれます。
でも、どの医者がどの程度患者さんを思いやっているかの比較のデータを持っていません。
本当であれば、医療コンサルタントさんは病気になるたびに、いろいろな医療機関にかかり、患者さんを優しくもてなす心を医師がどれくらいもっているか、データを調査すべきだと思っています。

サンボマスターの「今僕らが誰かに望むのは、たぶん本当の事を話して欲しいだけ」(歌声よおこれ)もそういうことだと思っています。
ここで言う、本当のことというのは、冷たい事実を単純に話すということではないと思います。

病名を告げられるだけなんて医療じゃ有りません。

その人を思いやった上での真実を語る必要があります。

山口さんの言う「本当の事」とは、その人を思いやり、未来を切り開いてくれる暖かな真実の言葉のことです。
(ほんとのことは山口さんに聞かないと判らないのですが)そう思っています。
だからこそ、この曲の最後のほうの叫び声に泣きそうになるのでしょう。
だからこそ、サンボマスターの洗練されているとはいえない泥臭い演奏に人々は感動する。

形じゃない。
本当の心からでる真実。

そういったものが無いフェイクがあふれていて、人の味覚や人の感覚や人の心をうわべだけ満足させて商売にしようとしている。

そこにクサビを打つ必要があります。

そして、医療道と言ったものを極めるために、医師は迷い、間違いながら、失敗を繰り返しながら生きていくしかないのです。

そして、時々患者さんに喜ばれ、ホッとする。その繰り返しです。

千利休さんは500年位前の人です。

真実は何も変らない。

人の心を思いやると言う事を実践するための、具体的な永遠の真実を示すなんて天才です。

サンボマスターの歌詞も永遠に残るかもしれない。

千利休さんに心洗われた一日でした。

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