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2006年5月13日 (土)

よしもとばなな/『イルカ』

イルカ イルカ
よしもと ばなな

文藝春秋  2006-03-20
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よしもとばななさんの『イルカ』は新しい命とお母さんの話です。

帯は桃色と水色がありました。暖かい感じで桃色を選んだのですが、イルカと海の事を考えると、水色の方が良かったかもしれません。

正確に言うと、女性を生物(いきもの)として解析したものかもしれません。

あかちゃんを身ごもるということ。

体に起きる変調。

女性にとって、男性とはどういうものなのか。

社会の中での女性にかかってくる重圧。

女性だけのコミュニティのかもし出す暖かさと、人類の原始体験のようなホッとする記憶。

シャーマンのように未来を見抜く少女。

すべて女性が主役です。

相方の五郎さんは少し登場するだけ。

暖かなものを連れてくる水族館の本物のイルカと夢の中のイルカ。

でも、なんといっても、このタイミングでしか歯車が回らないだろうという、人生の機微を映しだす、主人公のモノローグが美しく柔らかい。

特に剥製に引き金を引かれて、心と体調が少しずつずれて乱れていくさざなみが、静かに幸せに収まっていくところが美しい。

同じ事を違うタイミングで行っても絶対に上手く回らないのが人生というものです。

そして、いろいろな自分と関係の無いものにおされて流されていく。

自分のこれまでのそういったものを重ね合わせて、深く感動しました。

患者さんたちには、あのタイミングでなければ入院して、メリットを渡して上げられなかった。

そして、出会いも無く、失敗やそれから学んだ事も無かった。

リハビリテーションのスタッフと一緒に戦い涙した日々。

今、どこかで同じ事をしても、私も回りも何もかもが変化してしまっていて、同じようにはならない。私を誘ってくれた尊敬する新田院長先生はもういらっしゃらない。

私を応援してくれた患者さんたちの何人もを私自身が看取った。

そういった中で、人々は新しい命と出会い、大切にはぐくみ生きていきます。

女性が静かにしなやかに自分の判断で生きていけることを私はとてもいとおしく思いました。

自然と協調して暮らしていく穏やかな日本の姿。

そういった事を許すこの国の平和な環境がずっと続いて欲しいと思いました。

クリスレアのオンザビーチ、キングオブザビーチがBGMにぴったりです。

キング・オブ・ザ・ビーチ キング・オブ・ザ・ビーチ
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この突き抜ける海の青さ、空の青さの中の一抹の寂しさがまさにぴったりでした。

何十回も聴いてきて、CDが傷んで音飛びするようになったので買いなおしました。

夜更けに静かに聴きなおしています。

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