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2006年6月23日 (金)

『医療崩壊』から・6

医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か 医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
小松 秀樹

朝日新聞社  2006-05
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6章は『イギリス医療の崩壊』と言う章です。

私は、厚労省外郭シンクタンクで各国の医療制度についてのお話に触れる機会があったのですが、こちらに書かれている内容ほど悪化しているとは知りませんでした。

イギリスでは、まずGPという家庭医にかかり、その後必要なら、GPが専門病院にかかるシステムとなっています。

大きな病院に直接かかる事は原則できません。

病気になり、GPにかかるために2-3日の予約待機があります。

ついで、必要な検査があると紹介状をその時点で書いてもらうのですが、大きな病院への28万人以上の待ち患者さんが発生しているということです。

また、救急外来の待ち時間も長くなる傾向があり、ストレッチャーの上で最長3日間と6時間待ち続けた症例が報告されています。

超音波検査の“待ち時間”も2年になってしまった例もあるそうです。

待機時間があまりに長すぎるため、患者さんから医療機関への暴力も多く発生し、現場は荒廃しきっているそうです。

そのため、イギリスの医師たちの国外へ移住が進んでいるとの事です。

これは、他の方から聞いたドイツの医師たちの移住に似た様相を呈しています。

この様子は、イギリス医師会雑誌に『なぜ医師はこれほど不幸なのか』という論文に掲載されるまでになりました。

この元凶をたどると、医療費抑制のために受診の機会抑制、入院抑制をかけたことによります。

医療費は非常に抑制され、そういった意味では成功したのかもしれません。

アメリカ型の医療費縮小策もあり、そちらも紹介されています。

アメリカでは、医療は公共のインフラとしてではなく、消費される産業として捉えられています。

そのため、購入できない方には何の保障もありません。

提供される医療サービスに厳然とした大きな格差が横たわっています。
格差があるという自覚そのもの自体が人々を不幸にすると言う事は、『健康格差社会』という本をご紹介したときにも述べました。

悲しい事に、日本は形態としてはイギリス型の医療システムに向かい、グローバリズムと言う名のアメリカ型混合診療へ突き進んでいます。

私は、アメリカでおなかがものすごく痛くなってしまった先輩の先生が、延々と外来で待たされた事を思い出しました。

その先生が持っていた医療保険の照会をするために、そのセンターが開くのを待っていたのです。

アメリカでは、その病院で自分の持っている保険が有効でなければ、医療を受けられません。

日本のような保険証一つでどの医療機関にも書かれるという夢のような国は実はあまり無いのです。

空気のようになってしまっているこの国民皆保険制度がいま崩れようとしています。
その重要性をもう一度認識しなおす必要があるでしょう。

次章は、副題にもなっている『立ち去り型サボタージュ』です。


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