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2006年6月20日 (火)

『医療崩壊』から・4

医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か 医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
小松 秀樹

朝日新聞社  2006-05
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四章では、青戸病院泌尿器科の医療事故を取り上げ、『事件から学ぶこと』と言う章になっています。

詳細は原著を御読みいただくこととして、マスコミの報道がどれほど誤っている事かを痛切させられます。

あの事件が取り上げられていたときに、輸血の問題を大きく取り上げた報道はあったでしょうか。

あるいは、血液製剤によるHIVウイルスの問題の時に、血液製剤の安定供給やHIVウイルスの検出の困難さを大きく取り上げた報道はあったでしょうか。

これまで、私は多面的に物事をみる大切さに、自分が失いがちだからこそ、いろいろ触れてきました。

医療報道は横並びではなく、もっと多面的にいろいろな事を議論すべきです。

そして、実は、青戸病院のこの事例から学ぶ事は、前立腺の疾患に対し、腹腔鏡手術は必要なのか。
確立された技術になりさえすれば、開腹手術より優位なのか。

こういったより根本的な議論がなされていない事が指摘されています。

同じ医師であっても、このような術式の細かい適応については、専門家の指針を御伺いする事しかできませんので、それぞれの専門家の高い見識が必要とされます。

また、センセーショナルに誰かを悪者に、誰かを良いものにするのはマスコミがよく行う事ですが、真実からどんどん離れていってしまう事が多いのも事実です。

郵政の民営化の国民の熱狂は、コストダウンのための夜間のゆうゆう窓口の閉鎖となって表れました。

あのとき、マスコミはこのような多面的な議論はなされませんでした。
問題を呈示する余地も許されなかった。

今後も社会サービス的な利益率の低い事業から郵政公社は手を引いていくでしょう。

こういった社会インフラはどうしてもコストがかかるのです。
効率性を押し出すと切り捨てられてしまう危険が付きまとう。

無駄を省くということと、インフラを切り捨てるという事は別の問題だと思っています。

そのあたりも考えながら次章を見てみようと思います。

次章では『安全とコスト』について述べられています。

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