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2006年6月11日 (日)

転移性骨腫用とビスフォスフォネート/顎骨の壊死/アメリカ内科専門医会誌より

骨粗しょう症の主力のお薬である、破骨細胞阻害薬であるビスフォスフォネートは広く使われるようになりました。

以前、骨粗しょう症の記事を書いたときに、骨は常に作られ壊されている組織であるという御話をいたしました。

そのため、
『骨(代謝)回転』という医学用語があるくらいです。
店頭に置かれている品物の入れ替わりを、『店頭品の回転
というのに似ています。

内服したビスフォスフォネートは骨に分布します。

ビスフォスフォネートを骨を壊すときに細胞に取り込んだ、破骨細胞はその働きが衰え、骨を丈夫にするという作用を持ちます。

また、骨ごとビスフォスフォネートを食していく転移性腫瘍に対しても、腫瘍細胞の抑制効果が報告され(1. 2.)、よく使用されるようになりました。

ところが、アメリカ内科学会専門誌に興味深い記事が掲載されました。

こういった治療を受けられている方にアゴの骨の壊死(傷んで溶けていくこと)が散見されるようになったというのです。

Annals of Internal Medicine, vol 144, No. 10, May, 2006

Systematic Review: Bisphosphonates and Osteonecrosis of the Jaws

Sook-Bin Woo, John W. Hellstein, and John R. Kalmar

Within the past 2 years, an increasing body of literature has suggested that bisphosphonates, especially intravenous preparations, may be associated with osteonecrosis of the jaws. This paper reviews the action of bisphosphonates, outlines the clinical manifestations of bisphosphonate-associated osteonecrosis of the jaws, summarizes current treatment strategies, discusses possible mechanisms of etiopathogenesis, and suggests avenues of research.

もともとアゴの骨に炎症が有る人はもちろん、そうでない方も気をつける必要があるという記事です。

その原因は『骨回転率の低下』そのものにあるだろうと推測されています。

ビスフォスフォネート薬には幾つか種類があるのですが、Zoredronic acid(Zometa(日本未承認))、Pamidronate(Aredia(日本未承認))のような半減期の長い特徴ある骨格を持つ薬剤によるものが多いとの報告でした。

この2剤で、顎骨の合併症の80%以上を占めています。

幸い、この二つはまだ未承認薬です。

日本で使用されているものとしては、Alendronate(フォサマック)が4.2%と報告されています。

今後、転移性腫瘍の治療薬としてこのような破骨細胞阻害薬が個人輸入されたり、認可されていくでしょうから、非常に重要な合併症として銘記しておく必要があります。

骨回転阻害というビスフォスフォネートの薬効そのものがこの合併症を引き起こすとしたら、とても難しい選択をせまられる事になります。

そのため、これらの薬剤を使用する前に、虫歯やアゴの炎症などが無いか、良く調べてから飲み始めましょう という風に合併症予防の大切さが示されていました。

ジプレキサの肥満と対策もそうですが、新しいこういった知識を豊富に吸収する必要があって、ほんとに医師は年がら年中何かを読んだり(詠んだり)書いたりする仕事です。

でも、こういった患者さんのためのスキルをどんなに早く、沢山身につけても、必死に患者さんのために働いても、病気の避けられない事態が発生した際は警察に連絡するシステムになっています。

そして、即逮捕されます。

これは現状では恐ろしいの一言につきます。

病気と言う自然現象の前では、医師のスキルという人の成す業など小さなものなのですから・・・

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