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2006年9月 3日 (日)

『病院ビオトープ』/ヒートアイランドをおさえる方法/日本生態系協会による本格的調査/治療への応用

私は数年前から『病院ビオトープ』という新規の概念を提言し、その有用性を報告してきました。

夏になると、日本生態系協会のプロの方に調査していただいた日々が蘇ります。

厳しい予算の中で、調査を行っていただき、そして報告書を作成していただきました。

Aoyamagarden1 これがその報告書です。

病院に庭園ではなく、ビオトープがあるということ。

その意味を探ったのです。

東京はアスファルトで埋められていて、ヒートアイランド現象が起きています。

近くの表参道ヒルズでも屋上緑化が行われました。

さらに、病院の中でのビオトープの意味、そして、近隣緑地との関係を探ったのです。

また、昨年、『素敵な宇宙船地球号』のプロデューサーさんが見えられたことがあります。

青山病院の緑地のような東京の緑地は単独で存在するのではなく、新宿御苑や、青山霊園などと連携を取って存在している事を資料をお渡ししてご説明しました。

彼らはそのような視点と事実に大変驚かれていました。

彼らは、池の浅地の自生する葦の間を泳ぐおたまじゃくしに驚かれていました。

それでも、取材に答えながら、私の努力した結果も無駄にならなかったと安心したものです。

その後何かの参考になってくれていると良いのですが・・・

ビオトープと庭園は全く異なるものです。

庭園は人間が切りそろえた外観だけを美しくしたものです。

ビオトープは生物がそこで生まれ、死んでいく自然環境を整えたもので、基本的に最小限の手入れだけで後は生物による自浄作用などを期待するものです。

青山病院の緑地は予算の関係で池も含めて放置されていたため、ビオトープ化していたのです。

この結果をオープンにして、渋谷や港区の区民さんたちに理解していただこうと言うことも考えたのですが、安全第一という病院側の考えにより区民さんたちから隔絶された緑地となっています。
Aoyamagarden2_1 これが上空から見た写真です。

結構大きな緑地が島状に広がっている事が解ります。
少し離れた東側に新宿御苑があります。

これらの緑地が連携していると言うのは、生態系協会の方の調査からわかりました。

青山病院では無い清流で幼虫時代を過ごし、羽化するオニヤンマが飛来していた事。

様々な鳥が飛来していた事などからそのことが明らかにされました。

青山病院の『院内ビオトープ』は、そこで生まれる小さな昆虫を目的とした、彼らの『エサ狩場』だったのです。

生まれ育ったのは、新宿御苑や青山霊園でしょう。

つまり、緑地、そしてそこに生息する昆虫や鳥達は、これらの『緑のネットワーク』に支えられ、大きな循環をしていたのでした。

さらに、重要なことが明らかにされました。

青山病院の駐車場には大きなシイの木が一本残されているのですが、このシイの木は『スダジイ』というシイの木でした。

昔、東京のこの一帯はスダジイの林で覆われていたそうですが、その一本が残されていたと言う事です。

Aoyamagarden3 青山病院の病院ビオトープの植生をまとめたものがこの図です。

不十分な短い調査期間にもかかわらず、生態系協会の田邊さんをはじめとしたプロフェッショナルたちは、実際の実物を目視することにより、その植生を明らかにしました。

すると、このスダジイだけでない、スミレのような昔からの東京の『里山』の植生の生き残りの植物達が残っている事が判明しました。

そして、輸入植物であるシュロにどんどん侵食されてしまっている事も。

Aoyamagarden4全体で、100項目をはるかに超えるリストの一部がこちらです。

このような調査を踏まえ、東京における植生の重要性を私はがんばって問かけてきましたが、反応はなかなか厳しいものでした。

つまり、これらの緑地は東京の昔の植生を残す記憶装置でもあったのです。


このような植生に囲まれて行った屋外リハビリのあとの患者さんがたの笑顔も忘れる事はできません。

こちらの私が車椅子を押している姿は、患者さんの『日向ぼっこ』リハビリをしている様子でした。

昼夜逆転が起きないように、昼間、日の明かりを浴びていただこうと思ったものでした。

懐かしい思い出です。

数少ないデータですが、患者さんの不安尺度の改善も認められています。

表に出て、緑を見て、日に当たると言うのには、大きな意味があると思っています。

屋上緑化も悪くは無いですが、十分ではありません。

サボテンの仲間であるセダムには緑化による冷却作用も雨水の貯水も期待できないことが明らかにされています。

シュロの木も同様です。

見た目だけの緑化や手間が少ない単純系は機能しない事も多い。

コンクリートよりはましかもしれませんが・・・

つまり、緑地と昆虫、鳥などが一体となった本当の複雑系である自然の姿を取り戻さなければ本当の意味がないのです。

そこに、庭園とビオトープの本質的な意味合いの違いが有ります。

私は、生態系協会の方々から、輸入植物とその地域に根ざしてきた古来からの『在来種』の意味の違いについて、ご説明をお聞きし、眼からウロコが落ちる思いがしたものです。

 

病院には、庭園でなくビオトープが必要です。

庭園は庭師が手入れをしますが、ビオトープは小学生達が生き物たちと触れ合いながら手入れをします。

毎年、とても立派な、小学生によるビオトープコンクールが行われているぐらいです。
(どうぞ皆さんもお越しください。とても面白です。)


『病院ビオトープ』は、患者さんの内科系、整形外科系、精神科系のリハビリにも応用できると思っています。

手塚治のアトムやメトロポリスなどの漫画に、森に囲まれた未来都市が良く出てきます。

一旦壊してしまった森を再現した、あの姿が本当の未来かもしれません。

もう一度、そういった意味で、都市の木々や垣根などの緑や公園を見直すと様々なものが見えてくることでしょう。

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