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2006年10月 6日 (金)

女性の高脂血症

新松戸には、月間新松戸というコミュニティー紙があります。

御問い合わせが多かったので、二ヶ月前に投稿し、今月号となっている記事を載せたいと思います。

生活習慣病のうち、検診などで指摘されることが多いのは高脂血症でしょう。


スクリーニングでは、総コレステロール(TC)と中性脂肪(TG)、HDLコレステロール(HDL-C)がよく計測されます。

総コレステロールや中性脂肪が正常値よりも高値になると、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクが上昇する事が報告されています。

そのため、食生活の改善や運動療法などの環境の整備だけでは追いつかないとき、薬剤が用いられます。

 高 脂血症の薬剤には、大きく分けると、スタチン系薬剤、フィブラート系薬剤、EPA製剤の三種類があります。
 
 スタチン系薬剤は肝臓でのコレステロール合成を 抑えて血液中のコレステロール量を減らすという働きがあり、実際、このお薬を内服されている方の疾患リスクが減少する事も報告されています。
 
 フィブラート 系薬剤は、筋肉など末梢組織での脂肪の吸収と分解を促進し、主に中性脂肪を低下させる作用があります。

 EPA製剤は魚油から作られる薬剤で、やはり中性脂 肪低下作用があり、そのメカニズムが現在精力的に明らかにされつつあります。魚油から精製されるEPAやDHAといったω(オメガ)3脂肪酸には面白い特 徴があり、臨床論文も報告予定にしているのですが、機会ある時にブログに載せていこうと思っていますのでご参照ください。

今 回は更年期女性の高脂血症の話題について少し触れてみようと思います。女性の脂肪代謝には女性ホルモンが重要な役割を果たしており、女性ホルモンが低下す る更年期では高脂血症、特に高コレステロール血症が非常に高率に見られます。以前は「どんな高脂血症でも治療すべき」という意見も有りましたが、このよう に生理的な現象であるという事を踏まえ、様々な報告がなされてきました。

昨年、更年期の女性に積極的にスタチン系薬剤で治療すると、確かに悪玉コレステ ロールは低下するけれども、心臓に分布する血管(冠動脈)の変化に差が無いという報告が、権威あるCirculationという雑誌に掲載されました (Aggressive versus moderate lipid-lowering therapy in hypercholesterolemic postmenopausal women: Beyond Endorsed Lipid Lowering with EBT Scanning (BELLES). Circulation. 2005 Jul 26;112(4):563-71.2005)


こういった報告から、更年期においていては、糖尿病や高血圧などの合併症が無く、脳梗塞や心筋梗塞を起こ した事が無いような、単独でコレステロールだけが高値の患者さんは様子を見ていても良いのでは無いかという意見も出されるようになりました。


女性ホルモン 補充療法が良いのでは無いかという見解もあります。クリニック診療においても、最先端の臨床研究の結果を実践していく必要があると思っています。

正常値についても、年齢や性別を考慮した値が必要かもしれません。

検査値の値に一喜一憂しない事が大切です。


日経DIにもお書きしていますが、その意味を考える事が必要です。

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