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2006年12月 4日 (月)

ω3の発表大成功/大きな反響ありました

大宮の日本予防医学会第四回総会で、DHA(ドコヘキサエン酸)の発表をしてきました。

私の発表は、定量されたDHA投与による高脂血症改善作用の詳細についてはたぶん世界初の報告であり、沢山の方にお話を聞いてもらえて、とても皆さん喜んでくださいました。

ここで、DHAについての大変興味深い発表に出会いました。

Yobouigakkai_1 島根大学医学部生理学教室、橋本道男先生からの発表です。

培養神経幹細胞を用いた実験系とラットの内因性神経幹細胞を用いた実験系の二つの実験系の結果です。

大きく分けると二つ。

一つは、DHAが神経幹細胞から誘導した神経細胞の分化誘導に大きな役割を果たしているという事。
もう一つは、内因性の海馬の神経細胞の分裂を促進している可能性についてです。

素晴らしい!
この結果は、これまでの様々なDHAの疫学調査を裏づけする基礎研究だからです。

東京医科歯科大学神経内科COEで進めている『インキュベーションラボ構想』のテクニカルインターフェースの重要性を示す研究だとも思いました。
臨床ー基礎研究ーフィードバックの良いスパイラルを生むシステム。
基礎研究のデータを読んだり、自分でストラテジーを立ててすすめていく力を備えるためには、実際に基礎実験を自分の手で行う必要があります。
私は細胞培養、特に難しい初代培養を通して細胞内シグナルの解析を行い、世界で始めての種類の人の内皮細胞培養に成功してきました。

このような研究発表を聞いた時に何が重要か即座に理解でき、データと臨床の繋がりがひらめき、患者さんに還元できる新たな結果を得ることができます。基礎研究にも精通した質の高い臨床医をめざすことの重要性がここにあります。

DHAの中枢に対する効果を解明するにあたり、大変に重要な研究です。

論文化されているそうなので、別刷(雑誌からその論文だけを抜き出して綴じたもの)を送って頂く事にしました。

先生のご快諾を頂戴したので少しご報告いたします。

Yobouigakkai_2 結果の考察の部分はこちら。

中枢への効果で分っている部分と不明な部分がよく示されています。今回の実験で明らかにしようとしているターゲットが明確に示されている。

Yobouigakkai_3 プロトコルはこちら。
神経幹細胞はneurospheaという神経の『まりも』のような状態でしか増やす事ができません。

私はprimary culture、初代培養というマウスの脳神経細胞や、ヒトの脳血管内皮細胞の培養をしてきたので、大変に懐かしく、とてもうれしく聞いていました。


Yobouigakkai_4神経幹細胞をマリモのまま培養し続けるというのは、簡単なようで実は難しい。上のほうにマリモのように示されているのが神経幹細胞。

まず、長期培養になるので、細菌、酵母、マイコプラズマ、ウイルスなどの感染の危険にさらされます。
神経幹細胞だけをマリモの形にし続けるのもなかなか難しい。その辺が実際に実験してみるということの難しさでもあります。

Yobouigakkai_5 こちらが結果のスライド。
DHAを加えると約七日間で神経突起が明らかに伸張し、分化誘導因子として働いている事が分ります。Yobouigakkai_6
例えば、PC12という神経経細胞の分化誘導にはNGF(neuron growth factor)が用いられますが、そのような働きです。
アポトーシス抑制効果もあるらしいのですが、それは今後もう少し調べてみるとの事でした。

ALSの記事のところでも書きましたが、神経細胞はこの『分化』という事が細胞機能上とても大切です。

Yobouigakkai_7 次の結果はこちら。

シンプルですが美しい結果です。

内因性の分裂能を持つ細胞を染色すると、DHA投与ラット脳の海馬には染色される沢山の細胞が現れます。


つまり、DHAを摂ることにより内因性神経幹細胞が増加し、その分化誘導も促すという実験結果が示されたのです。

DHAにより記銘力が増すという数多くの臨床データはこういったものを反映していると考えられます。

しかしながら、末期のアルツハイマー病にはDHAのこの効果が見られなかったのは、こういった神経幹細胞の枯渇が起きているからかもしれません。

今後の更なる研究が進む事が楽しみです。
握手をして、私は資質データと臨床の現場で、彼らは基礎的研究の現場でω3脂肪酸、EPAやDHAをすすめて行く事になりました。
とても素晴らしい出会いでした。

なんと、それだけではなく予想しなかった素晴らしい出会いが午後にも沢山待っていました。(続く)

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