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2007年1月10日 (水)

医療事故と裁判官/裁判の限界

医療的な事を理解しない裁判官さんが行った、とんでもない判決に注目が集まっています。

この救急病院では全力を尽くし、治療に当たったそうです。

その病院は医療だけでなく、医学教育にも定評のあるしっかりした病院です。

必死の治療の結果の合併症が死因ということになりましたが、本当の死因は病気そのものにあるので、とても納得できないということで、病院側が控訴されました。

事実関係は難しいということですが、この事例についてはきちんと解剖も行われ、院内で様々な医師が加わり、ディスカッションも行われていた。


さらに、学会でも取り上げられ、オープンに議論されていたそうです。

私はその抄録のコピーを大学の医師からもらって読みましたが、既に搬送されてきた時点で致死的な値を示していた。

そして、そこに、休みの先生にも緊急招集がかかり、懸命な治療が繰り広げられたのです。

客観的データがそろっていると予想します。

井上薫元裁判官さんから、裁判官は決して万能ではなく、いろいろな側面のファクターがかかわるという事をお聞きしました。

裁判官さんは、決して、万能の人ではない。

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裁判を長引かせないための様々な事や、決して全ての細かいことまで理解する事が難しい事など・・・

今回の事例は、多くの医師が疑問に思い、注目しています。

多くの事が既に公表され、そのデータもオープンになっているそうなので、事実についての解明がなされていくと思います。

私は、10年ほど前救急病院に居た頃、心肺停止状態で搬入された大柄の患者さんの救命に当たったことがあります。

尿が真っ赤でした。

血尿かと思いましたが、倒れていて数時間経っていた事や、薬剤の影響で筋肉が傷み、筋肉の中の赤いミオグロビンと言う色素が尿から出てきていたのです。

これは、潜血反応陽性になりますが、通常の血尿とは全く違います。

また、極端に血液が固まりにくい状態に陥っており、血液が各所から漏れてきたための潜血反応もかぶっていました。

腎臓の機能も落ちていて、死に極めて近い状態です。

これらの事は、実は救命処置が終わってから、一つずつ情報が届きます。

まず救命措置が行われてから、その尿の分析結果が届くという時間的経過となります。

今回の事例は、医療機関が隠蔽して、それを善意が暴くという構図では全くありません。

そして、その事実をもし、裁判官さんが誤認していたような事があれば、大きな問題です。

ところが、日本には、裁判官さんを裁く、あるいは、裁判の妥当性を検討するというシステムがありません。

ただ、今回の事例は、医療事例に素人の裁判官が誤った判断を下したという判例として記録される。

そして、判例主義の日本の裁判においては有意義な一石を投じるものと思います。

非常に時間がかかりますが、きちんと医療裁判を行えない裁判官のリトマス試験紙にもなるかもしれません。


あわただしく、必死の救命措置を続けながら、病態が次第に明らかになっていくのが救急救命現場です。

診断するための時間的猶予が無い場合も多い。

大量に自己輸入したサプリメントを摂取していたことや、アルコール大量摂取と共に内服した事、自殺目的に様々な薬を多量に内服していた事、数時間前に階段から転落していたけれど『大丈夫と言って寝ていた』など、いろいろなことが後になって明らかになることも多い。

現場では、まず、お話を伝える事ができない、死が切迫した患者さんその人だけが救急搬入されてくるだけです。

そこから救命措置と病態の解明が始まる。

同時進行です。

こういった事情を理解する事が裁判官には不可能な人と、可能な人がいるのではないかと考えられています。


なぜなら、今、医師側でも、とんでもない判決を出した裁判官のリスト化がすすめられていますが、その結果、特定の方が医学的に理解の苦しむ判決を連発していることに注目が集まっています。

全うな判決を出された裁判官さんが多いと信じたいのですが・・・

(続く)

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