« 手帳メソッドの佐々木さんのブログ開設 | トップページ | Macworld Conference&Expo San Francisco/iPhoneかなぁ? »

2008年1月14日 (月)

感染爆発/パンデミック・NHKの番組

2日にわたって放映された『感染爆発』は大変に良質な番組でした。

1日目の放映にて新型インフルエンザによる『感染爆発』がどのようなものか、実話のようにわかりやすく理解できました。

2日目にはほとんど実際に発生した時には無効と考えられる日本の現状とアメリカのシステミックな取り組みの対比。

構成も内容も素晴らしく、久しぶりに素晴らしい番組だと思いました。

私は、不安感を紛らわせるだけのタミフルの備蓄だけを少しだけして、すませている日本の現状について、あまりに不十分と感じてきました。

3年ほど前、私はこの点についてブログでふれました。

第2話で触れていましたが、アメリカは半年で全国民に新型インフルエンザウイルスのワクチンを作る工場を作っているそうです。

さらに、人工呼吸機を毎年800台ずつ備蓄を進めているそうです。
本当に必要なものが何かをシステミックに考え、行動に移せるのがうらやましい。

医療機関に関しては、内科医、外科医だけでなく、皮膚科医、眼科医などあらゆる医師たちの応援態勢を整え、歯科医まで協力する体制が映し出されていました。
医師の3割がインフルエンザで倒れた後の体制を整えているとのことです。
日本では、医師がそのまま働けたとしても、全然足りないとの苦悩が映し出されていて、対比が鮮明でした。

また、ベッドに関しては、リハビリ室を緊急の陰圧病室にする様子が映し出されておりました。
日本ではどれも難しい状況です。病院が緊急事態の時に申請以外のベッドを勝手に増やすことはできませんし、歯科医師が治療の援助にあたれるような、国家的危機に対する準備が全くなされていません。
リハビリテーションは厳しい状況です。診療報酬改定で、多くの病院はリハビリテーション室を縮小、閉鎖しました。そのような状況で、リハビリテーション室にさらにお金をかけて、陰圧室にしておくというのは日本では難しいでしょう。
日本の医療システムは、現状に応じてしなやかに対応できるシステムではありません。

日本はソフトにはお金をかけたくなくて、ハード作りがとても好きな国です。
道路や橋、高速道路の電話を建設するために、たくさんのお金が使われています。
そうであれば、ワクチン建設の工場や、いざという時の人工呼吸器やワクチンの備蓄のための建物を作ることに、使いたい予算の一部を振り向ければよいのではないかと思います。
新しいジャンルの雇用も増えます。こういったワクチン工場は、SARSなどの新しい感染症のためにも有用で無駄になることはありません。

多くの国民が病に倒れて死んでしまうのであれば、道路や高速道路の電話は無意味です。

まず、こういったハードを作ることで、国民の命を守り、ハード作りの人々の仕事も減らないのですから、とても良いことだと思います。

医療費削減により、少ないベッドを病床回転率を100%近くにしていて、在宅医療を進めています。そうであれば、新型インフルエンザも在宅で見る計画をすすめるか、入院患者さんに退院していただきインフルエンザの患者さんを入院で見るのか、二者択一を迫られることになるでしょう。

このあたりの問題も第一話で触れられていました。
さらに、タミフル耐性インフルエンザウイルスの話も出ていて、完璧な番組だと思いました。

そして、ワクチンや呼吸器の大幅な不足。
米国では、ワクチンが作れることはもう前提になっていて、誰から打ち始めるべきか、の議論や、呼吸器の優先順位の議論にまで発展しています。

戦争なんて起きなくても、インフルエンザにやられる国と生き残る国で、国力に圧倒的な差が出る可能性が高い。

日本の細菌学、ウイルス学は世界的に大変に高いものがあります。
あとはシステムだけです。

効かないかもしれないタミフルを少しだけ備蓄して、気持ちを楽にしている場合ではないのです。
タミフルはインフルエンザウイルスの増殖を抑えるだけで、結局は人の免疫力がインフルエンザを退治しているのです。
であれば、人の免疫力を強化する治療、つまり、はやり始めて、ウイルスが分離できた後、
有効なワクチンを、どれだけ早くどれだけ沢山作れるかが大切なのです。

免疫力の弱い小児では、特にタミフルは効かない可能性が高い。
ふだんからタミフルを大量に消費している日本では、耐性ウイルスの出現も早いでしょうし、ワクチンが最も大切なのです。

日本の医療は様々なデバイスでは先進国かもしれませんが、パッチワーク的です。
地域医師会レベルでの先生方の苦悩も映し出されていました。
問題が全国規模であるため、地域での対応では解決できないのだと思いました。

厚生労働省の方は、国は『応援するけれども対応の実際は地方自治体にゆだねる』という立場で、それ以上できない歯がゆさゆえの総論のコメントだけを話されていました。それに比べて、国立感染症研究所の先生やWHOの先生方のお話は大変に具体的で示唆に富んでいた。各省庁を横断した議論が必要だと思います。

そういった意味でも、この番組の意味というのはとても大きい。
タイミングもドンピシャです。私がブログに書いた3年前から、確実に、はるかに危機は身近になりました。そのころは、H5N1のヒトーヒト感染はまだ起きていませんでした。放映されたものは、インドネシアでの小規模なクラスターでした。

こちらにWHO発表の鳥インフルエンザ感染症発生状況が報告されています。
人数は横ばいに見えますが、発生国が次第に広がっていることがわかります。
これは、H5N1の感染のための条件のハードルが下がっていることや、ウイルスの蔓延を意味していると思っています。
もう時間の問題だと思っています。

ぜひとも、感染制御の医療システムでも、医療先進国になり、国民がバタバタ死んで行くのだけは避けていってほしいと考えています。

|

« 手帳メソッドの佐々木さんのブログ開設 | トップページ | Macworld Conference&Expo San Francisco/iPhoneかなぁ? »

04.栄養運動医療アドバイザー / 医療コラムニスト」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/130679/17689686

この記事へのトラックバック一覧です: 感染爆発/パンデミック・NHKの番組:

« 手帳メソッドの佐々木さんのブログ開設 | トップページ | Macworld Conference&Expo San Francisco/iPhoneかなぁ? »