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2008年1月 5日 (土)

再生医療の夜明け/iPS細胞/山中先生の素晴らしい仕事

京都大学の山中教授のiPS細胞の技術確立にはとても興奮させられました。

私たち神経内科の扱う、脳や脊髄を支える神経細胞は再生がとても難しい細胞です。
そのため、いったん傷つくと治す事がとても難しい。

皮膚も神経も外胚葉系という元は仲間の細胞です。

もし、幹細胞に先祖返りさせることができて、衰えた神経細胞の部分に細胞を打ち込んで、そこで新しく分化していくことができるなら、脳の再生医療が行えます。

このように、まだその人に残っている正常な臓器を足がかりにして、機能回復に役立てられれば、ものすごい進歩なのです。

人工臓器に一足飛びに行く必要はありません。

今の記事では、まだ、その点の記載が少ないと思いました。

幹細胞(iPS細胞)→再生医療→臓器再生(フラスコの中に臓器が浮かぶイメージ)→臓器移植

というイメージが先行しています。

でも、私は、たとえばこんな風にiPSを用いた治療は始まるのではないかと思っています。

幹細胞(iPS細胞)→細胞分化→膵臓β細胞(インスリンを作る細胞)→膵島移植術(肝臓の中でインスリンを作ってもらう)→子供達のI型糖尿病完治

幹細胞(iPS細胞)→細胞分化→心筋シート→外側から貼り付けることで、心筋の収縮力再生→拡張型心筋症治療(心移植によらない治療)

幹細胞(iPS細胞)→細胞分化→神経幹細胞→脳内へ注射移植→脳梗塞、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALSなどの神経細胞再生

実は、ヒトの脳にも幹細胞があり、脳も再生する能力があることが知られるようになりました。ところが、その能力がとても小さな物であり、場所も限られているため、再生できずに症状が残ってしまうのです。分化可能な幹細胞を脳内に自由に移植できるのなら、治癒能力を飛躍的に伸ばす事ができる訳です。
自分の皮膚などの細胞を用いて、脳に移植し、治癒能力を高めるわけです。

『臓器全体を作り出し全く異次元の臓器移植を行う、というより、『人間の再生治癒力を飛躍的に伸ばすという方向での治療が先行していくと思っています。

私はこれがiPS細胞の臨床応用第一歩の画期的な治療だと期待するものです。

日本は数億円規模の研究補助を決めましたが、アメリカはその何百倍もの資金を投入する予定です。彼らは、その先の未来を確実に見据えて、治療方法の特許を取る事を目指しています。

また、山中先生も書いていらっしゃいましたが、ラボの学生さんや研究者の驚異的な努力によりチームワークで達成したとの事です。
裏返して言えば、少ない人数で不眠不休の仕事をして成された物だと予想します。
私も研究室で基礎医学実験をしているときには、家に帰れず、数時間おきに水を換えたり温度設定したりしたことを思い出します。
山中チームの人々が疲弊してしまわない様にすることが大切です。

もっと沢山の資金と、そして、人的資源の投入が必要です。
こういった物は、大学や科の枠組みを超えて、日本の財産として研究と臨床応用を進める必要があります。
内視鏡も日本がリードしました。
スーパーカミオカンデもニュートリノで先行しました。
そして、どちらも大きな市場を生み出しました。

今回生み出される市場は限りない物があるでしょう。

日本人は育てたり、生み出したりすることが得意な人々だと思っています。

私は、これまで治療が難しい病気の患者さんと一緒に悩み続けてきました。
早急に思い切った国を挙げての、産学協同のプロジェクトが立ち上げる必要があります。
是非とも、日本が世界に冠たる再生医療立国
となってほしいものです。
そして、こういった難治の病に悩まれる患者さん達の福音になることを心から願っています。

世界中の患者さんが、日本の医療を受けに来るというビジョンを考え、そのためのシナリオを描く事が最も大切だと思っています。

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