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2010年1月 4日 (月)

The sound of silence/歌詞/未来を作る力の宿る場所

今日はサイモン&ガーファンクルのサウンド・オブ・サイレンスを、本を読みながら聴いていました。

Hello darkness, my old friend・・・

という歌詞で始まります。

この年になって聴くと含蓄深い歌詞でした。
勝手に訳してみます。
人々の生活を俯瞰しているような歌詞からすると、この曲を歌う彼らは、少し達観した人間として歌っています。
が、彼らも、俯瞰される人々の一人でもあるのです。

曲名のThe sound of silenceには二つの意味があると勝手に思いました。
ひとつは何も聞こえない絶望
そして、もうひとつは対話を生み出すエネルギーとしての場

の2つです。

そこに奥深さが生まれる曲です。

昔からの友達、暗やみさん、こんにちは。
僕は君とまた話に来たよ。

だって、ある映像が忍び寄ってきて、
僕が寝ている間に頭に種を植えたんだ。
そして、その映像はまだ残っている。
静寂というあの音の中で

(映像の話をしよう。こんな感じだった。)
終わりの無い夢の中で僕は独りで歩いていたんだ。
狭い石畳の道
街灯の明かりの下、
僕は湿った寒い風に襟を立てた。
そのときネオンのライトが僕の目を射抜き、宵闇は切り裂かれた。
そして、
僕の心は、静寂というあの音に触れたんだ

街灯の裸電球の下で僕は見た。
何万、あるいはもっとたくさんの人々を。
人々はただ声を出していたんだ。話し合うことなく。
人々はただ音を聞いていた。耳を傾けることなく。
そして、人々は、分かち合うことが決してない歌を作り続けていたんだ。
誰も、その(絶望的な)沈黙の音楽を止めることは無かった。

〝ばかな!〟僕は言った。
〝(絶望の)沈黙はガンのように大きくなるのをしらないのかい?
君を導くかもしれない僕の言葉を聴いて欲しい。
差し出す手を握り返して欲しい〟
でも、(そんな言葉も)雨粒のように落ちていくだけだった。
沈黙の井戸の中でむなしく響くだけだった。

(冒頭のdarknessから)無知な)人々は、
自分たちの作り上げたネオンの神に
こうべを垂れて祈っていた。

そのとき、人々への知らせのサインがきらめいたんだ。
(カオスのようなネオンや喧騒のきらめきの中に)
はっきりと形として現れた言葉として。

そのサインはこう言っていた。
〝予言の言葉は地下鉄の壁に記されている
予言の言葉はアパートの玄関に示されている
そして、(予言の言葉は)静寂というあの音の中でささやかれている〟のだと。

よい曲です。
45年も前なのに、今のことを歌っているようです。
ネオンをテレビやメディアに置き換えてもよいでしょう。
一方通行にがなりたてるものに真実は無い。
正しいものは、お互いの信頼感の元に、耳をきちんと澄ませば生まれてくるということです。
最もよくないのは、絶望による沈黙です。
ですが、その沈黙のなかにこそ、希望をもった言葉が生まれる素地がある。
なぜなら、沈黙は虚無ではなく、エネルギーを持った空間だからです。

最新の物理学の理解では、宇宙は〝物質の無い空間〟ですが、場を支える粒子で満たされています。だからこそ、光や電波が伝わる。
宇宙に〝人間が何も無い〟と言っても、真実の目から見れば〝充満〟しているのです。

人間の言う物質も怪しいものです。
核融合により物質は消失し、エネルギーに変わり、宇宙に拡散する。
そして、エネルギーはまた物質に変わります。その方程式まで明らかになっています。
炭とダイアモンドが同じ元素であることも、皆が知っています。

人々が沈黙しているその場、そこには宇宙の空間を支えるような粒子が満たされているわけです。
ですから、〝人間が音が無い〟と感じても宇宙的な真実から見ると、音が流れている。
音を生むエネルギーが充満している。

まるで、禅の問答のようです。
色即是空と言ってもよいかもしれません。
無から有が生まれ、また無に戻る。
真実の目から見ると、無と有に境はありません。
変化しただけです。

そのことに気づくことこそが、希望である、と歌っているわけです。
対話の無い騒がしいだけの喧騒の中では、人々は孤独になり、虚無に陥っていきます。
静寂の中に、心休まるやさしい音楽を流すような人生を送ることができるなら、それで十分な人生なのではないでしょうか。

昔からの友達、暗やみさん、こんにちは。
僕は君とまた話に来たよ。

の冒頭に引き続き、
僕は気がついたことがあるんだ・・・

と続くのではないでしょうか。

少し前、〝ガイド〟はいたるところにあり、耳を澄ませる事が大切かもしれない・・・とつぶやきました。

だからこそ、この曲に描かれるように、
人々が行きかい、注意が払われることの無い、
地下鉄の壁や、アパートの玄関ホール、
あるいは、
誰もが絶望している沈黙の中にすら、
The sound、The signが現れ、prophet・予言になるのではないでしょうか。

まさにそれらは、僕が感じていたガイドという概念そのものです。
未来へ導く予言は、どこにでも現れているのです。

患者さん、先達の方々や仲間たちがどれだけ僕を導いてくださったことか。

美しい曲です。
今日から始まる今年の診療は、ここから始めようと思います。

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