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2010年6月11日 (金)

夏の俳句/金魚売りと花火と星空と

同人誌に夏の俳句を掲載していただきました。

揺れる影夕日に溶けし金魚売

昔、東京には時折金魚売りの方が現れました。
夕日アスファルトに舗装される前の道を、夕日の中にゆらゆらと消えていく金魚売りの姿を詠みました。
陽炎が道路から立ち上っていて、溶けていく、という表現がぴったりだと思いました。

暑き陽に焼かれし記憶秋の蝉 

蝉は華々しく鳴いたあと、小さく固まって死んでいきます。
触ってみると陽の光を集めて、大変に熱くなっていることがあります。
まるで、夏の間に命を燃やして、その自分の熱自体に焼かれたように思えます。

君の目に線香花火映り込む

大花火開きては人浮き立たす

どの人にも、こういった想い出があるのではないでしょうか。
見ているものは花火ではなく、瞳。
潤いをたたえた角膜のアールに沿って、なめらかに小さな光が反射します。

足が痛いのに無理して草履を履いたり、慣れない浴衣で花火大会にいき、人ごみにもまれたり。
花火が開いた瞬間だけ、人の後ろ姿が浮かび上がる風景をきりとりました。


傍らの温もりほのと星月夜

中学生の頃、高原に天体観測に行ったことがあります。
満天の星の下、少し涼しくなってきたとき、ふと、隣の人のぬくもりに気がつきました。
私は、暗記していた銀河鉄道の夜の

「そのきれいな水は、ガラスよりも水素よりもすきとおって、
ときどき眼の加減か、ちらちら紫いろのこまかな波をたてたり、
虹のようにぎらっと光ったりしながら、声もなくどんどん流れて行き、

野原にはあっちにもこっちにも、
燐光の三角標が、うつくしく立っていたのです。」

をお話したりしたものでした。
「ガラスよりも水素よりもすきとおっていて」というフレーズと
「燐光」という言葉が(本当は違うのですが)温度を持たない碧色の光のようなイメージがあり、お気に入りの一節です。

これから、星の美しい季節になります。
東京でも明るい星は見ることができます。
空を見上げてみましょう。

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03.絵/詩/俳句/芸術」カテゴリの記事

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