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2016年11月28日 (月)

エピペンが命を救った日 / アナフィラキシー / エピペンとAED / 救急蘇生法は命を守りあうシステム

http://www.119-sys.jp/each-fire-department/sakura-fire%20department/cpr/ibutu/ibutuzyokyo1.html Epipenjpg

エピペンという救急薬があります。

様々なアレルギー反応で、血圧や脈拍が低下して命にかかわる時にとても頼りになる薬です。目の前で血圧が急降下するときなど、注射薬を注射器に吸っている暇もないことがあります。免疫反応の連鎖反応は指数関数的に(エクスポネンシャルに)増加します。

Epipen 青いストッパーを抜いて、グーで握って太ももに叩きつけるだけ。それで筋注できます。垂直に叩きつけることで、皮下注ではなく筋注(筋肉内注射)することができます。筋肉は、血流が多いので一刻を争う時には「筋注」でなくてはいけません。蜂毒アレルギーで一本で足りない時には、林業の方々は駆け寄って自分が持っているエピペンを仲間に服の上から筋注します。

以前、登録制だったころに私はいち早く登録医になりました。なぜなら、救命救急センターに良くアナフィラキシーの方が運ばれて来ていたからです。その場で治せる、ものすごい画期的な薬剤だと思い、マイランというところに登録しました。今は、ファイザー。当時、講習会を受けに行って東京都職員共済青山病院で登録医になったのは私だけでした。

今日は、クリニックで事情があって「ごめんなさい!」と言ってジーパンの上からエピペンを筋注しました。消毒は要りませんし、そんな暇ない。夏に新しいエピペンを配置して看護師さんとお話したところでした。

以前、エピペンを使うことをためらった学校の職員を医学誌や新聞のコラムで痛烈に批判したことがありました。どんな人でも使えるように用意されているAEDやエピペンを使わないことは、人の命を見殺しにすることと等しい。

これらは、医療者じゃなくても使える。クリニックではAEDもクリニックで事務員さんと一緒に講習会を行いました。彼女たちも使えます。僕がVTになったら事務スタッフは、私の胸をたくし上げてAEDの指示に従い電気ショックを与えることでしょう。同時に、救急車を呼ぶ。AEDやエピペンが最初の一歩の初期治療でしか無いことも理解しています。頼もしい。

AEDはめったに誤作動を起こさないですし、間違ってエピペンを打ってもそれで大事にはいたりません。エピペンには成人用でもアドレナリン0.3mgしか入っていません。

正常人に間違って打ったとしても、ドキドキするだけで10分ぐらいで収まるぐらい微量。ところが、アナフィラキシーショックの人にとっては、運命を分けます。打てばその場で復活しますが、1−2分遅れれば致命的にも。遅れて打っても救命できない。医科歯科のERの看護師さんも私共のお渡しした練習用キットでやってみていたとのこと。

エピペンやAEDは、命に関わった人のその1分1秒が運命を分ける。僕らスタッフは、全員どちらも使える。この頃と異なり、保険診療で数千円になりました。

「その時に」エピペンやAEDを使えば、人の命は復活する。そして、その後正常に暮らしていける。ただ、それだけ。使わないことのほうが問題。取り返しがつかない。

かつて、私はメディアで瀕死の子供を前にして逃げ回る教育機関の人々を批判したことがあります。おじけづくことは、子供の命を軽視することと同値です。綺麗事や難しいルールなんかいりません。人工呼吸や心臓マッサージと一緒。窒息の時にはハイムリック法でもいい、何か行動をすること。

食事誘発アナフィラキシーは、子供に多い。子供がいる施設で働くなら、エピペンを使うことを恐れてはいけない。心臓震盪だけでなく、さまざまなことで不整脈が起きるかもしれない。AEDも恐れてはいけない。

人間には、お互いの命を助け合うという根本的な「生命共存」の気持ちが共有されている。

今日は、スタッフと一緒に協力して救命処置をした日でした。とてもお待たせしてしまった患者さん方には一人ひとりお詫びしましたが、改めてお詫びいたします。本当に申し訳ありませんでした。

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