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2016年12月12日 (月)

腸内フローラ / NK細胞 / 免疫の主体はパイエル板 / 食品の吸収経路とは別経路

腸の免疫を語る時には、パイエル板は欠かせません。『腸内微生物叢を介した食物アレルギー制御の可能性について』という論文がまとまっています。

9ページにあるように小腸には、粘膜固有層という栄養を吸収する部分と、パイエル板という部分があります。

粘膜固有層は、リンパ管につながり脂質の吸収など栄養の吸収を行っています。リンパ節を経て、異物が体内に入り込まないようにして、静脈につながり取り込まれたものは肝臓へ移動します。

パイエル板には、M細胞が存在していて、積極的に腸内のものを貪食しています。乳酸菌が作る多糖類(EPS)も菌体自体も、貪食しています。M細胞の下には、免疫をつかさどる細胞が準備されていて、免疫活動を支えています。

このページには、パイエル板から粘膜固有層へ免疫担当細胞が血流に乗って移動していたり、分泌されていることも示されています。決して、リンパ液に沿って免疫細胞が移動するわけではありません。免疫細胞は、血液循環によって運ばれるのが主経路。

最近、面白いことが証明されました。粘膜固有層とパイエル板の下にあるリンパ球を直接ラベリングして、観察したところ、全身に見出されたリンパ球はパイエル板由来のものだったものです。2016年の日本食品免疫学会で報告されました。

粘膜固有層に居るリンパ球も、腸管内に分泌されるIgAも、元はパイエル板が主座。そのことを語らないで、腸とカラダの免疫を語る媒体があれば、それはモグリ。

食べ物や、飲み物を変えて、粘膜固有層のリンパの流れを良くすると免疫が上がるという俗説は、最新の知見からは否定的だからです。パイエル板にどのような影響をあたえるかが、全身の免疫と関係しています。もちろんNK活性も。

腸内細菌叢が、肺におけるインターロイキンの分泌に影響を与えていたり、パイエル板の下で教育を受けたナイーブなB細胞が分化して、喉にホーミングしていることもなども少しずつ分かるようになってきました。

彼らがホーミングする仕組みも、細胞膜の接着因子の見地から明らかになってきています。このあたりの論文はワクワクして面白い。医学生のころから、細胞接着因子や、細胞表面マーカーや各クラスの抗体がグラディエーションして構造が似ていることに、本当にワクワクしていました。全部元は一緒。

腸内フローラが、パイエル板のシステムを通して喉のリンパ系(NALT)や肺のリンパ系(BALT)に影響を与えている。NK細胞活性も、全てそこから。細かな点での研究が進められています。一昨日、腸管免疫の専門家の方々ともその点を話し合いました。

ネット上に適当な医療情報を流布したことで、大きな問題が起きています。私は、正しい医療情報に沿って、色々なことをお手伝いしています。

今年は、感染性胃腸炎の多い年です。ノロやロタだけでなく、アデノやアストロウイルスも流行っています。大人の急性胃腸炎は症状が軽く、非典型的。クリニックにもそういった患者さんが、数多くいらしています。症状の話をすると、患者さんも驚いて納得してくださっています。

定期的に、腸内フローラを健全化して、カラダの免疫を高める乳酸菌や納豆菌、酵母などを発酵食品から摂取することがお勧めです。

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