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2018年7月20日 (金)

熱中症の正しい理解 / 地味だけれども真実を伝えるのが仕事 / 無印良品の医療

Neccyuusyou 熱中症について、余り正しくないことが流布されている印象があります。

ツルゴールが低下する脱水症などは、熱中症の一つの症状にすぎません。

僕らは、救急でツルゴールを診ることもありますが、何より体温。全身を診察するから、その一つに過ぎません。そして、採血、酸素だけでなく酸塩基平衡をみるために血液ガス。

熱中症については、厚労省と救急医学がガイドラインを発表しています(横田 裕行 (日本医科大学大学院医学研究科 救急医学分野(高度救命救急センター)) 三宅 康史 (昭和大学医学部 救急医学講座)ら)。
それを無視したような、本題から外れるような解説は有害無益です。NHKがやさしく解説しています。

暑熱環境における体調不良では常に熱中症 を疑う。熱中症とは「暑熱環境における身体適応の 障害によって起こる状態の総称」である。すなわち 「暑熱による諸症状を呈するもの」のうちで、他の 原因疾患を除外したものを熱中症と診断する(1C)〟(同上より)
と定義されています。

つまり、人間の対応能力を超えた環境温度の上昇による、身体の障害を熱中症とよぶと定義されています。それ以上でも以下でも無い。自律神経の破綻や機能不全。

この中に登場する安岡正蔵先生は、新聞のコラムを毎週8年間書き続けていた時に、取材させていただいた先生です。新聞のコラムは、無限の点検作業の連続なので、医学や食品、語源など広い分野で勉強になりました。

その条件には脱水も、風通しも、血栓などの合併症も含まれていません。明らかな血栓のない、DICや横紋筋融解の患者様も救急で拝見したこともあります。

一人は亡くなり、一人は助かりました。ツルゴールは2人とも正常でした。なぜなら、脱水が無かったからです。一人は、塩飴をなめて給水しながら走っている人でした。水島ヒロシさんと対談しました。


高齢の方の皮膚はたるんでいることもあり、古語に近いツルゴールを診ることが不可能に近い。分からない人もいるものに注目するなんて。僕らはすぐに体温を測って、採血や血ガスを採取します。熱中症が疑われたら、自己判断せず病院に行くのが命を守ります。

でも大事なのは、そうならないこと。

 

海外の方に、熱中症は日常英語でなんていうの?と聴いたときに〝heat stroke〟つまり、〝暑さの打撃(で倒れる)〟というとおっしゃっていました。それが正しい。


そして予防は、熱による障害だから、熱を避けるしか無い事をお話ししました。

塩や水は、解決策にならない。プールなどで冷たい水につかることや、頭を冷やすことは熱による障害をへらして多少役にたちます。営業の人は、クーラーの効いたコンビニや車の中でときどき待機。カラダを守って働きましょう。

働き者の人が体をこわすことほど、悲しいことはないです。泣きそうになる。豆だらけの手をもって、「大変でしたね。涼んでいってください。」と血圧を測るようにしています。

だから、ひとがまばらで扇風機が回っていても、環境温(気温)が高いと熱中症を発症する。環境温による障害という意味では、低体温症と一緒です。食べ物や飲み物は解決策にならない。

屋内で天井を治していて、熱中症で落下したひともいます。一人の作業なので、究極のまばら。暑いなかの体を動かす作業が危険。

熱によるカラダの直接障害と体温調節(中枢性、末梢性)の破綻を、キチンと解説するのが専門家の仕事のはず。僕は、昨日、そういった地味な仕事に徹しました。外気温が高すぎると、人の間をあけて風とおしをよくすることは、熱風を送るのを助けるに過ぎない、血栓なんか合併しなくても熱中症で人は死ぬことをお伝えしました。


熱源から逃げる、太陽や高温環境から逃げる、それしか方法はありません。そして、気がついて、全力で治療しても命を守れないこともある。

どこから熱中症か、分からない点も恐ろしい。

体温調節機能の破綻
熱中症というのは、正常状態からグラディエーションしていてわかりにくい

この点を、バーンと解説したものを見たことがありません。
頭痛やめまい、嘔気、だるさからくることが多くて、体温が高く39度で頻脈だったりする。汗をかいていなければ重症。クリニックには頭痛でいらっしゃったりします。

そういった、地味な仕事をしました。全国の、救急に当たっている先生は、そういった治療を頑張っている。DICなどで腎臓がやられていたら、挿管してきっとICUで透析しているでしょう。彼らは、ツルゴールをみるのだろうか。救急医や麻酔科医はどう思っているのだろう?

それが真実。僕は医師であって、テレビを面白くするために存在するわけではありません。熱中症の正しい理解につながることを願っています。手のひらを何回もつねる必要はありません。クーラーの効いた室内なら心配ありません。

おいしい、そうめんでも楽しみましょう。

(メディアに出演してくださった患者様ありがとうございます。たまたまいらしただけなのに、突然のお願い ごめんなさい。)

クリニックは、いつのまにか,お医者さん、看護師さん、薬剤師さん、リハのコメディカルなどの方もかかられる 玄人好みの場所にもなりました。

東大の先生が良い医療と言って手伝ってくれるとこまで来ました。

ブログの話題になることも多いので僕らの普段の会話のコトバのまま書いて見ました。応援してくださっている先生方に深謝申し上げます。

クリニックは、本当に医療関係者の方が訪れることがおおいです。フシギ。

本当は、医師のみんなは、「麦になる秘かなる欲求」をかかえているんじゃないかと疑っています。麦は米にはなれない。麦の意味を深めることしかできない。僕は、望まれた時だけ真実を語る小さな麦でいい。自分からなんて、おこがましいし、押し付けは迷惑にしかならない。

(自慢や押しつけは、女性が男子を嫌いな一番の理由だとおもう。女子が男子をどう観察しているかは、彼女らが気が付かずに残していった証拠の断片をつなぎ合わせていくしかないけれども。)

ハデでもセンセーショナルでもないけれど確実で継続性のある医療をしてきました。それを勝手に、「無印良品の医療」と患者さんに説明しています。訪れてくださった方を地味にシッカリ守りつづける医療。

無印さんに怒られてしまうかもしれないけれど、クリニックの事務用品はほとんど(西友のなかの)無印さんで「無印良品のクリニック」なので許してもらいたいです・・・

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