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2018年8月

2018年8月21日 (火)

いちのゆめ / あおいとりのときいろのてがみ / かなたのほしのともしび / ははのうたとひかりのや

20180428bluesky_2


















<一嘉さんに捧ぐ>

僕に伝えられることが、
一つだけある

唄が歌えるようになったら
おかあさんが教えてくれたら
読んでみてほしい

今は
“碧いとりのこもりうた”
に包まれて
眠るあなたに

☆ ☆  ☆

僕の元に、美しい手紙が届けられた

この世界に、
「いちか」さんという生命が生まれた


たった20文字ほど
数バイト単位だけの手紙

わずかな、ノイズの混じるデジタルデータが
紙の端に橙色の糸としてそえられていた

碧い鳥が、数千キロ単位の距離を
運んできてくれた

ラシャ紙に包まれた朱鷺色の手紙に、
まばゆい文字が浮かび上がり
ホログラムのように空間に
輝きながら舞い上がる

しばらくの間、僕は旅に出ていて留守にしてしまったことを、
新調したての麦わら帽子をぬいで
碧い鳥の鳶色の瞳にあやまった

彼女は、輝く瞳でじっと僕を見つめていた
陽の光をうけて、
尾羽の根元が、コバルトに回折して
万華鏡の中の金属のように輝いた

碧い鳥は、辛抱強く
デイジーの野や、牧草の草原や、シダーの森を飛びながら
清らかな川の水を飲んで待っていてくれた
おやつに、麻の実を食べながら

世界の片隅に静かに生まれた誕生を知らせるために

彼女は、上昇気流に乗って
山の上の青い空を駆け、川を越え、海をかすめながら
手紙を届けてくれた

陽の光の中、碧い塊が僕の麦わら帽子を直撃した
強い日射しで目測を誤ったらしい
疲れてもいたらしい

でも、碧い鳥が自分で届けたかった朱鷺色の手紙

大切な手紙だったから
自分に託した人の気持ちも届けるため
私の気持ちも届けるため

やがて、せまる黒い霧も
彼女から放たれた金の矢が
射貫くことだろう〟

彼女は、瞬きをせず
僕を見つめた

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