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2005年9月21日 (水)

画期的な発明・抗体酵素

<お問い合わせが多いのですが、当サイトはリンクフリーです>

あらゆるインフルエンザウイルスに対する抗体酵素が人工合成できた
という報告がありました。


何気なくふーんと読んでしまうと分からない大切な意味が潜んでいます。

三つの意味で画期的なのです。

まず、一つ目は、これまでインフルエンザには予防のワクチン、治療薬のオセルタミビル(タミフル)などの治療薬しかありませんでした。

ワクチンは、あらかじめ打つことで、その人の体に抗体を作っておいてもらうというものです。

抗体は非常に選択性が高いので、変異するインフルエンザウイルスに対し、その都度インフルエンザに対するワクチンを打たなくてはなりません。

また、現在用いられている治療薬はインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬です。
インフルエンザウイルス自体を壊していくものではありません。

既にインフルエンザにかかってしまった場合、その疾患を軽くすることはできますが、予防にはなりません。

ある程度インフルエンザウイルスが体で増えてしまうと、効果も損なわれます。

これらと異なるメカニズムの武器を人類が手に入れたというのが最も画期的な点です。

次に素晴らしい点は、あらゆるインフルエンザウイルスにも対応するものであるという点です。

インフルエンザウイルスがやっかいなのは、変異が大きくて、それに対応するのがとても大変という点です。

インフルエンザウイルスに共通の部分を認識するので、一つのものであらゆるインフルエンザウイルスに対抗できるというのです。

素晴らしい!

最後の三つ目の最も画期的な点は、人工で抗体酵素を作れたというものです

通常、抗体は色々な生き物の中で、細菌やウイルスに対抗するため、リンパ球という細胞が作り出す複雑な構造の蛋白質です。

これまで、抗体が欲しければ、ウサギやウマなどの動物に蛋白質を打って、抗体を生き物の中で作ってもらうしかなかった。

それを人工的に作れた。

動物を用いるのでは、大量生産は難しい。
インフルエンザのように感染爆発(アウトブレイク)するタイプのウイルスには、ある時期に対抗手段が大量に必要になるのです。

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人工合成なら、大量生産の可能性が開ける。

蛋白質は単なるアミノ酸の連続ではありません。
複雑な立体構造を有しています。

ちょうど、パソコンがハードディスクやCPU,モニターが適切に立体的に構築されていて、初めて機能するのに似ています。唯並べてつないだだけでは、機能しません。

立体構造を有して初めて蛋白質は機能するのです。

その
蛋白質を人工合成したのです!!

しかも、抗体なだけでなく抗体酵素だったという点に注目すべきです。

抗体は、ウイルスに対抗するための有力な手段です。
ワクチンはそれを利用したものです。

ところが、今回合成されたものは、抗体酵素
実はわたくしは、その存在を今回の報道で知りました。

酵素とは、色々なものを分解する触媒の働きをする蛋白質です。

抗体のおしりに酵素でもくっついているのかな・・・


よく調べてみると、びっくりしました。
全然違うのです。

抗体そのものが酵素の働きをするのです!
この驚きは、横田助教授に『RNA自体が酵素になることがあるんだよ
と講義を受けたとき以来の驚きです!

だって、RNAはDNAから情報を読み取るのが本来の仕事です。
そのRNA自体が酵素になり、他のRNAを切断するというのです。
なんじゃそりゃ?
と思いましたが、それがRNA治療につながり、創薬につながりました。

抗体酵素は、抗体でありながら、それ自身酵素なのです!
びっくり!!!

何がすごいかというと、抗体というのは選択的に対象物にくっつき攻撃する力を有します。
同時に、抗体酵素であれば、酵素反応で相手を分解してしまう。

つまり、積極的にインフルエンザウイルスにくっつきその側から分解していくという離れ業をするわけです。
しかもこの分解作業は、触媒反応なので、抗体酵素自体が消費されることは非常に少ない。

だから、極少量の抗体酵素で沢山のインフルエンザウイルスを分解するわけです。

しかも撒布できるらしい。

今回の発表の内容は、インフルエンザ治療において、パラダイムシフトが必ずおきると言うことを示しているのです。

何気ない報道の中に、ものすごい発見が紛れていることがあるのです!
日本のバイオテクノロジーは心強いです!
日本人で良かった。

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