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2005年9月14日 (水)

過換気症候群

過換気症候群は「換気が過ぎる」ために起きてきます。

換気 というと普通は、お部屋の換気などを想像しますよね。

でも、医学用語の換気は体の二酸化炭素を排出して、酸素を取り込むという、呼吸の作業を示す言葉です。

それが過ぎてしまうというのはどういう事なのでしょう?

私たちは、呼吸を止められると数分で死んでしまいます。

それぐらい、呼吸は大切なものです。

呼吸とは、胸にある肺をふくらませたり縮めたりして、先ほどお話ししたように二酸化炭素を排出し、酸素を取り入れる作業です。

精神的負荷やストレスが加わると、呼吸の回数が多くなってしまう人がいます。

呼吸が多くなると、どんどん二酸化炭素が逃げていってしまうことになります。

血液の中の二酸化炭素はある適切な濃度で溶けているように、調節されています

それが、どんどん逃げていってしまうわけです。

すると、どうなるでしょう。

一つは、血管が収縮する方向に働くので、手足が冷たくなります。また、脳の血流が下がるとぼーっとすることもあります。

手足の先や唇がびりびりしてきたりします。

血液のペーハー(酸アルカリバランス)の崩れから、手足の筋肉がこわばってしまいます。

そして、その症状を感じて、また呼吸が荒くなる。
その悪循環に陥るわけです。

さて、治療はどうしましょう。

そうです。二酸化炭素を体に戻せばよいのです。

二酸化炭素だけを吸うと窒息死してしまうので、二酸化炭素の投与は絶対にしません。

それではどうするのでしょう。

口に、息がもれにくいように20cmX30cm位の紙袋(ビニールだと窒息の危険があるため)を当ててもらい、吐いた息を吸ってもらうのです。

完璧に口の周りに止める必要はありません。
袋がふくらんだり、縮んだりするくらいなら、大丈夫です。

吐いた息には、空気より高い濃度のその人から排出された二酸化炭素が溶けています。
自分の二酸化炭素をまた吸収してもらうというマイルドな治療法なのです。

これをペーパーバック法といいます。

症状が落ち着いてきたら、はずします。

過換気症候群は若い女性に多い疾患です。

救急車が要請されることも多いです。

救急で、過換気症候群を拝見すると、世の中の女性は強くなったと言われるけれど、デリケートな存在なのだなあと感じます。

ですが、もし、過換気症候群と分かっているときには、このペーパーバック法を試してみてください。

そうすれば、大騒ぎしないで、静かに治療することができます。

また、パニック障害のような精神科的疾患がベースにある場合は、精神科の治療が必要となってきますので、そういった場合は精神科の先生の処方が必要になります。

覚えておくと良い知識でしょう。

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