プロペシア(propecia)/男性型脱毛治療薬
脱毛は非常に大きな問題です。
毛髪に脱落、再生のサイクルがあり、沢山の研究が重ねられてきました。
最近、男性ホルモンのテストステロンが細胞の中で代謝された物質が、脱毛に悪影響を及ぼしていることが判明しました。
男性ホルモンが細胞内で代謝されるのを阻害する薬剤がプロペシア(propecia)なのです。
脱毛のお薬は怪しげなものが多かったのですが、これまでの報告をみ直してみると、プロペシアはメカニズムの上からも非常に興味深い薬剤です。
薬剤には、効果を持つメカニズムがあります。
また、同様に副作用にもメカニズムがあります(拙書 「副作用」でおかきしたとおりです)。
もともとプロペシアは前立腺肥大治療のための、抗テストステロン薬として開発され、海外では実際に前立腺肥大薬として用いられています(日本では申請中)。
プロペシアはテストステロンが代謝され、ジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑える薬ですが、少量投与により、男性型脱毛に効果があることが知られ、アメリカFDAが初めて認可した育毛剤です。
以前紹介しましたとおり、血圧や心臓の薬として開発されたバイアグラ(シルデナフィル)が特有の“副作用”のためにEDのお薬として使用されたのと似ていますね。
メカニズムの上から、考えるとこのお薬の制限も判ってきます。
男性ホルモンの代謝を抑えるお薬ですから、18歳から41歳までの男性型脱毛の男性にしかもちいられません。
女性や、子供は絶対に用いてはなりません。
男の子の胎児は成長する間、テストステロンが重要な働きをしますので、妊娠している女性はこのお薬に触れたり、もちろん内服などしては絶対にいけません。
そのため、たとえ錠剤に触れても大丈夫なようにコーティングされていますので、粉砕したり、分割してはいけません。
効果の面からは、ジヒデロテストステロンが脱毛に関与していた方にとっては、これまでの薬剤とは比較にならないぐらい劇的です。
FDAの発表によれば服用者の48%に発毛効果がみられ、使用者の83%が2週間後に育毛効果が認められ、そのうち72%は、ほとんど毛がなかったにもかかわらず、発毛効果がみられたとのことです。
偽薬(薬の形をした本物でない薬)との比較で、優位差が認められたため、承認されました。
どのような脱毛にも効果があるわけではないこと、内服後数ヶ月を要することなど、いくつかのハードルはありますが、ひとつのよい解決策と考えられます。
今のところ、重篤な副作用は認められていません。
プロペシア(フィナステリド)のFDAの情報はこちらに、厚生労働省からの情報はこちらにあります。
このお薬は保険適応ではないので、自費で購入する必要がありますが、11月中旬以降取り扱いのあるクリニックで正規品を購入することが可能になります。
これまで、自己責任で自己輸入で購入されていた方にも朗報といえます。
いろいろな分野で医療は進んでいくものです。
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