脊髄小脳変性症の治療薬
沢山のことが分ってきましたが、脊髄小脳変性症の原因はいまだ不明で、その進行を止めることはできません。
小脳のふらつきを少し和らげるお薬として、セレジストというお薬が良く使われます。
セレジストは、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)の働きを持つ合成薬物です。
以前は、ヒルトニンという同じTRHの働きをもつ注射薬が用いられていました。
甲状腺の機能と小脳の働きが関係あるのでしょうか?
TRHの小脳失調への効果は、ローリングマウスナゴヤ への効果があるところから発見されました。
ローリングマウスとは、遺伝性の『すぐ転んでしまう(ローリング)マウス』というところからつけられました。
TRHは生体内ではもともと、甲状腺刺激ホルモンを出させるホルモンで限局したところにだけ働くものです。
ところが、外部から投与すると、脳のいろいろなところに働いて、小脳症状を和らげると考えられています。
Biol Pharm Bull. 1997 Jan;20(1):86-7. | s |
Kinoshita K, Yamamura M, Sugihara J.
この論文には、TRHがくっつくレセプターのある場所が脳に広く散在していることを示しています。
TRHはこのように脳の中のさまざまな神経を活性化し、いろいろな伝達物質を増やしたり制御したりして、小脳症状を和らげる作用を有しているのではないかと考えられています。
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