インフルエンザの型とタミフル
インフルエンザウイルスはオルソミクソウイルス科に属するRNAウイルスで、A、B、C型があります。
RNAウイルスとは、殻の中にRNAの形で遺伝情報を持っていることを指しています。水疱瘡や、帯状疱疹の原因となるヘルペスウイルスはDNAを遺伝子情報として持っているため、DNAウイルスと呼ばれます。
インフルエンザウイルスの殻にはヘマグルチニン(赤血球凝集素、HA)とノイラミニダーゼ(NA)というタンパク質があります。
このHAとNAにはいくつか種類があり、H1N2とか、H2N3などとよばれます。ちなみに、高病原性鳥インフルエンザとして騒がれているインフルエンザウイルスはH5N1型のA型インフルエンザウイルスです。
A
型インフルエンザウイルスはこの殻の表面タンパク質を大きく変動させることが知られています。
B型、C型インフルエンザウイルスはこのような変動はほとん
ど変動がありません。
人は、この殻のタンパク質が変化してしまうと十分免疫システムを働かせることができず、インフルエンザウイルスが全く別のウイルスと振舞ってしまうため、時々大流行が起きてしまいます。
変装の上手な
怪盗が強盗を繰り返すようなものです。
ちなみに、今年のインフルエンザワクチンは、H1N1型、H3N2型のA型インフルエンザウイルスと上海型B型インフルエンザウ
イルスを元に作成されました。
イ
ンフルエンザウイルスは、ばい菌(細菌)のように自分自身で増えていくことができません。
そのため、生きている細胞の中に入り込み、自分自身を大量に複製
し、ノイラミニダーゼ(NA)という酵素により細胞から放出され、新たな細胞の中で増えていくということを繰り返します。
インフルエンザウイルスの治療薬
として脚光を浴びたタミフルは、このNAを選択的にブロックします。NAは新しく細胞内で増殖して形成されたインフルエンザウイルスが、細胞外に放出され
るために必要なものです。
ですから、タミフルはインフルエンザウイルスが増えてしまう前の発症早期に内服することが大切です。
タミフルのようなノイラミニ
ダーゼ阻害薬にはリレンザという吸入薬もあり、効果は同等といわれています。
カリスマ主婦、黒田知永子さんに応援していただき、「こどものおいしゃさん」
という絵本が発売になります。今、帯を巻いているところだそうです。よろしくお願い申し上げます。
また、国立感染症研究所や広島衛生研究所の先生にご協力いただき、監修した「かがくる」も1月26日に発売になります。鮮明なウイルスの電子顕微鏡写真はお借りした実物の写真やデータから起こしたものです。併せてよろしくお願
い申し上げます。
(月間新松戸一月号の文章を元にいたしました。)
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