日本のビジョン
昨年、入院医療について、今年、在宅医療についての厚生労働省の論文を書いているわけですが、その時にも感じていました。
日本には多くの良い点もありますが、苦手なものが有るのではないでしょうか。
日本は長期的ビジョンを策定し、それを地道に思考、試行、施行していく事が苦手なのではないでしょうか。
医療についてはいろいろ書きましたが、今回は、食、住について考えさせられてしまいました。
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チタン食器を金属の毒性を回避するために一生懸命作ったときの事を思い出します。
知らない事が多すぎました。
食べているものの裏側。
昔の日本の色も形も悪いけれど、地元密着の食品のよさを再確認します。
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日本のマンションは寿命が30年しかない。
それは、法的にマンションの共有部分と専有部分が明確に分かれていないこと、100年持つようなスケルトン構造をとっていないこと。
結露は外が寒いからでなくて、部屋の中の温度の不均一があるからということ。
欧米に比べると数十年の遅れの構造による温度の不均一さなのです。
さらに、どうして、日本がこんなに小刻みな開発に終始しているのでしょう。
国家の公的財産の土地そのものには価格を設定せず、その利用価値のみ取引する必要があるのではないか。
すでに作ってしまった、この“アメーバ”のように広がってしまった都市をどうしたらよいか。
著者はその解決策を話しています。
私は、著者がおっしゃるように著者のソリューションの実行が無理とは思いません。
なぜなら、他に方策は無いからです。
この難しい問題に、きちんとソリューションを提供しているのは瞠目すべき点です。
この本には日本が陥ってしまった病への根治療法が記載されています。
私たち医療者が患者さんに必死に人工呼吸や輸血や点滴をする事があるのは、その人がまだ息を吹き返すときに適切な事をしなくては生き返らない事を知っているからです。
だから全力でわき目を振らず治療する。
いったん死を迎えてしまったら、どんな治療にも反応しません。
マンションの本の作者の方がおっしゃっていました。
『ひたすら安いもの、ひたすら簡単なものを求めて、それに応えるように建築士たちが奔走してしまった』
私たちはもう一度、ゆっくり質の高いもの、質の高い国はどういうものか。
良く考えて長期的ビジョンを立て、次の世代、あるいは次の次の世代に花開くような国づくりをしなおさなくてはならないでしょう。
衣、医、食、住 落ち着いて考え直してみる必要があります。
安くて早いものがよいわけではありません。
多少効率悪くても、価格が高くても大切にしなくてはいけないものがあります。
それを大切にするためには、国民にお金と時間に余裕が無くてはいけない。
国民のできるだけ公的な負担を少なくしなくてはならない。
そのためには、生活の経費が少なくなくてはならない。
土地や住宅の価格的負担は少なくてはならない。
つまりは、全て連動してるのです。
土地、食べ物、医療の仕組み。
それが上手く周れば苦労が減るのです。それぞれはバラバラなものではない。
医療の仕組みを良く知らなくては良い医療が受けられないというのは、本末転倒です。
『国敗れて山河あり』です。
病気の人が自分でいろいろ考えなくて良い、優しい仕組みにしなくてはいけない。
私は公園の冬木立ちの真ん中に立ちこの静かさが続く事を願いました。
春寒し ぬくもり放つ 君の声 (大和田 優仁:今月の句)
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