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2006年3月26日 (日)

医療の効率化と総合化

医療の効率化と総合化。

これは私がここ数年、厚生労働省のシンクタンクで研究している大きなテーマです。

良い病院は待ち時間が長く、待ったからといってよい診療が保障されているわけでもありません。

日本の医療は、敗戦後、人々にあまねく医療を供給するという社会保障的な性格を濃厚に保ちながら発展してきました。

そのターゲットは感染症の治療であり、怪我などの治療でした。

その後、日本の様相も、ターゲットとする病気の様相も全く異なってきてしまいました。

医療費の抑制と、均一化の行き着く果てに私たちは立っている気がします。

先日、有名な先生の御加療を受けられた方が、その医療費より、駐車場代の方が高価だったと嘆かれていました。

つまり、同じ時間であれば、診療を行う医療機関よりも駐車場管理者の方が価値が高いということです。

そして、彼の、一日の損害は、その何百倍にも値します。
彼が上げることができた収入が失われ、国はその税収を失いました。

日本はこうして、非効率的な医療により、莫大な二次的経済損失をきたしていると考えています。

現在、様々な医療機関が存在しますが、標榜科など極少ない情報以外、その違いを明示する事は禁止されています。

医療の過当競争を無くし、均一化を図る政策の一環です。
でもそれでは困るので、今は週刊誌などのメディアや口コミが差別化の一端を担っている。

しかも、医師であればどんな科を標榜しても違反になりません。
専門性と全く違う科を標榜してもかまわない。

専門医かどうか、ライセンスはどうか。
扱い数はどうか。
どういう仕事をしてきたか。
これまでの患者さんの評判はどうか。
医師の態度として待ち時間を減らすべき努力を惜しまなかったか。

患者さん側からの情報も取り入れ、様々な面から評価され、差別化が行われるべきでしょう。

でも、それが全て禁止されています。

均一な医療があまねく日本中で供給されているという古い制度のままのためです。

実はそれぞれの医療機関は既にいろいろな特徴を持ち始めています。
それを有機的に効率的に結びつける工夫が必要です。

『医療コンサルジェ』という性質の有料サービスを行う会社も登場してきました。
混沌とした医療システムの水先案内人と言ったところでしょうか。

保険医療費の他に、水先案内人の値段も必要になるのでしょうか。

私は、医療システム自体が安心できて迷わない効率的なものになっていくことが基本だと思っています。

昨年は入院医療について、今年は在宅医療について、医療の効率化と総合化の論文が厚生労働省政策推進研究事業として掲載されます。

大学病院と市中病院、クリニック。

私はたまたまどの機関とも良好な関係を結んで暮らしてきました。
そして、それを研究できる場にも恵まれました。

先日も呼吸器を停止させるというショッキングなニュースが伝わりました。
ここで呈示されているのは、終末期医療のあり方かもしれません。
もう少し詳しい情報が無いと判断できないところです。
一方的に医療機関を責める前に、多角的な考察が必要です。

人々が安心できる医療システム。
その未来を考える事はとても大切なことです。

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