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2006年3月25日 (土)

癌性疼痛について

癌性疼痛のコントロールはこれから始まる、末期癌の在宅医療に置いて非常に重要な問題です。

私は神経内科医だったので、神経性疼痛のコントロールを考える機会も多く、馴染み深い問題です。

基本的に麻薬を使って疼痛コントロールを行う事になります。

日本では、モルヒネやフェンタネストという麻薬性の薬剤を用います。

癌研のこのページに詳しく述べられています。

モルヒネとフェンタネストの換算はこちらの内科医さんの書かれたページが実用的でとても良いです。

このブログ自体もとてもよいものです。素晴らしい。

もう一つ大切なのは、オピオイドローテーションという疼痛緩和方法です。

基本的に麻薬性剤は即効性で効果の低減も早い性質を持ちます。

それを、徐放内服薬や、徐放の貼り薬にして長時間作用型にしたものを基本として用います。

それでも、抑え切れない強い痛みのときには、モルヒネ水などの即効性の追加薬を用います。

先ほどのオピオイドローテーションは大変に重要なものです。

麻薬製剤は、人の体に存在するオピオイドレセプターという受容体を刺激して疼痛緩和に働きます。

麻薬製剤は非常に有用なのですが、一剤の連用では限界が出る事があり、それを回避する方法がオピオイドローテーションなのです。

例えば、一つのオピオイドレセプターを刺激し続けると、レセプターの感受性の低下を来たし、効果が減ってしまうので、そうなる前に様々なオピオイドを使って、疼痛コントロールするというものです。

もう一つは、モルヒネで便秘などの副作用が強すぎてしまうとき、しばらくフェンタネストで対応するというものです。これは、副作用の低減の目的です。

つまり、オピオイドローテーションの考えは、オピオイドを使っていて、合併症がでたり、効果が薄くなった時に、解熱鎮痛薬に逃げることを防ぐ事に有りま す。

癌性疼痛には解熱鎮痛薬は余り効かないことも多いのです。

複数のオピオイドを上手く使うことによりQOLを増すということに意味があるのです。

ですから、オピオイドローテーションに理解が深まれば、末期癌の在宅医療の質の向上につながるでしょう。

オピオイドローテーションについてはこのページがよいです。

これから、在宅医療は高度化し、沢山の患者さん方が利用するようになるでしょう。

こういった知識もとても大切なものです。

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