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2006年3月10日 (金)

失われし星

これから花を咲かそうとする桜が

曇り空の空へ 

上へ上へと手を伸ばし

空を切り取り

幾何学を作る

雨が降りはじめる

静かに音も無く雨が降りはじめる

柔らかな質量の無い水滴

鎧の樹皮にも

シートのかけられたボートにも

かれた冬すすきにも

静かに音も無く小さな雨が落ちる

垂直に

法則に従い

亡くした命

それでも

僕はまた生き続けている

一つ一つ星が流れて落ちていくように

一つ一つ命が手のひらからすべり落ちる

柔らかな雨が質量を失い柔らかく音も無く小さな水滴となり降りしきる

彼らの笑顔を思い出すたび

彼の命を感じるたび

その大きさを感じるたび

僕の心にその大きさと丁度同じだけの重力が働き

足元から地球の中心に埋め込まれていく

沈み込んでいく僕が見上げる曇り空

柔らかな雨がほほに降りしきる

地面に埋め込まれながら

安らぎが訪れるまで

僕が完全に地面に埋まるまでの僅かな時間を思う

静かに僕の心にも雨が降り始める

今年の桜に柔らかな水滴が降りしきる

ただ音も無く降りしきる

つぼみをつけた桜に幾つも降りしきる

ただ音も無く降りしきる

見えるはずの無い曇り空の星

ただ音も無く降りしきる

ただ音も無く降りしきる

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