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2006年6月 9日 (金)

気が付かない薬剤の問題

処方する私たちはいつも患者さんの声を聞くように耳を澄ませる必要があります。

ある病院からジブレキサという抗精神病薬を処方されている患者さんが『先生、私の体重が増えるっていうことを真剣に取り上げてくれないんですよ。』とおっしゃっていました。

別な患者さんは、『朝、口の中に苦い味が残るんです』とお薬を見せてくれました。睡眠薬のアモバンでした。

また今日は、『先生、先生の処方の血圧の薬変えてください。』とオルメテックという最新型の薬を見せてくれました。評価の高い薬です。

血圧も脈拍も良いですし、何が問題か分りませんでした。

『そうですか。でも血圧コントロールよいですよね・・・』

『先生、こんな感じなんです。』
患者さんはおもむろに薬入れに使っている小さな小袋を取り出し薄緑色の銀色のパッケージを破って薬を取り出しました。

『匂い、かいで見てください。』

『匂い?』

『そうなんです、かいでみて下さい。』

『わかりました。』

匂いをかいで見ると、新しいプラスティックのような独特のにおいがします。
あまり気にならない程度のような気もしました。

『でも、私は飲むときに鼻にこの匂いが来ると、ウッとなるんですよ・・・』

『そうですか。では、同じARBという降圧剤の仲間で違うものにしておきましょうね。』

と薬剤を変更しました。

こういった、味や匂い、体重の変動などは処方する医師には気が付きにくいものです。

抗精神病薬/多受容体作動薬(MARTA)の仲間では、最近、体重増加や糖尿病の合併症がほとんど無いエビリファイというお薬が使えるようになりました。

担当の精神科の先生は、全く相手にしないという態度を止めて、このようなお薬もあるけれど・・・と少し相談しても良かったかもしれません。

睡眠薬も苦味の少ないものがあります。

患者さんの声に耳を澄ますと気付くものが沢山あります。

薬の大きさや味、匂いは本当に分りにくい要素です。

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