『医療崩壊』から・8
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大学・大学院・医局の問題 と言うのが第八章です。
私は医局を巡る問題は大きく分けると二つだと感じました。
一つは急激な医局制度の崩壊にまつわる問題と、もう一つは大学や医局の閉鎖性だとおもいました。
私たちの時代は、医学部を卒業すると、入門するような形で、ある大学のある医局に入局することが多かったです。
そして、医局が指示する病院を回り(ローテートとよばれます)その間に、経験を積み、いろいろな実技も学びました。
数年前から、このシステムは再整備され、医学部を卒業すると市中病院に直接採用され、研修するようになりました。
その後、その市中病院に就職しても良いですし、別な病院へ移動してもかまいません。
その結果、大学の医局に所属しない医師が大量に生まれました。
人材派遣作業も兼ねていた医局の力はなくなり、医師を派遣してもらえない病院の診療は崩壊しました。
現在では都市部の人気ある病院の医師の競争率が大変に高まっており、地方の病院診療は手薄になりつつあります。
もう一つの問題点である大学の閉鎖性は様々なところで問題になってきました。
このように、医局に所属する人数が減ってもなお、閉鎖性は存在しているようです。
本書ではある医療事故を取り上げ、先輩の手術の術後管理を任された若い医師の例が紹介されています。
彼は、『大学院生』と言う身分のため、ほとんど無給で大学で勤務し、夜間はその病院で生活を維持するために働いていたのです。
大学院生に希望で入ったのだから我慢しろとはいえません。
なぜなら、大学院生は大学病院の労働力の一環として、医局のローテートで自分の意思と関係なく入学しなくてはならないことも有ります。
医局に所属し続けるための人生の切り売りの側面があります。
最近は、大学院大学制度が確立されつつあり、制度も大分改善されてきましたが、まだまだ旧態然とした医局も残っているようです。
この大学院生の先生は、医療事故までなんと彼は四日間連続で当直をしていたそうです。
世間では医師というと成功された開業医の姿を思い浮かべるかもしれません。
しかし、生活に困り、幾夜も身を削り当直せざるを得ない若い医師像は世間ではあまり知られていないように思います。
私も大学院生のときの苦労を思い出します。
多くの医師は大学院へ進む事を諦め、日本の先端医療の研究に取り組む医師は激減しています。
次章では我々を管轄する厚労省の問題点について述べられています。
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