夏の猫/CHAT D’ETE
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(廃盤のようなので、自分のCDのジャケットをスキャンしました。)
私は、夏になると必ずこのCDをかけます。
このアルバムは廃盤になりそうですが、傑作中の傑作といっても良いと思っています。
その後のISIS:アイシスも美しい。この二枚は宝石の様です。
その後の日向敏文さんにはこのシンプルな美しさへの切れ味が無いような気がしてなりません。
今、夏の俳句を作っているのですが、CHAT D’ETE、夏の猫という必ず、言葉が浮かびます。
白壁に黒猫あおぞら日向水 (大和田優仁)
(日向敏文さんの名前を入れてみました)
ギリシャかスペインの海沿いの白壁の上に黒猫が乗っている写真があります。
美しい階段には、水溜りができていて、日向水になっています。
その情景を詠みました。
同時に、夏の街をあるく、黒いワンピースの女性達にも同じ情景を感じています。
私が10代後半の浪人生だったころ、夏、予備校の裏のパスタハウスに現れる女性達がとてもまぶしく見えたものです。
冷房の効いた天井がはるかに高いカフェ風のレストランの床は黒と白の鈍い光沢のあるタイル風の作りでした。
カツカツと革靴のヒールの音が聞こえていました。
メニューは細い麺のパスタが多く、私は食事の後、美味しかったのでエスプレッソばかり頼んでいました。
やせて黒いワンピースを着ていた彼女達を見かける度に、「黒猫のようだなあ」と思ったものです。
同時に、年上だった彼女達は近寄りがたい光を放っていて、それも嫌いな人にはなつかない猫に似ていると思いました。
これも懐かしい思い出です。
もう一度、このCDのジャケットを見てみてください。
柱も女性もほとんど同じほぼ白黒の構図で、赤いセロファンだけが加わり、表紙になっています。
ストイックな作りです。
中に日向さんの詩が載っています。あまり取り上げられることが無いので、ここに引用します。
「湿気でしめった鏡の上に、一本の指が書く
夏の猫と。」 (日向敏文:Chat d'Ete から)
夏の誰もいない柱の建物に彼のピアノが響く様子を思い浮かべると、『夏の猫』と言う言葉が暗号のように心に波紋を広げていきます。
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