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2006年8月13日 (日)

谷川俊太郎さんと夏の雷

谷川俊太郎さんの『シャガールと木の葉』を購入しました。

シャガールと木の葉 シャガールと木の葉
谷川 俊太郎

集英社  2005-04
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通勤の間、読んでいましたが、今日は激しい雷雨で稲光が東京に何本も落ちました。

車両近くに落ちたものもあったようで、若者達が『電車が爆発したらしかったけど、雷だったみたいだよ』と話していました。

谷川先生の講演会に伺い、8月6日についての美しい詩を御伺いし、購入したものでした。

なんと、そこには、石垣りんさんのお別れ会でお聞きした美しい詩、新水社さんがファックスしてくださった美しい詩が載せられていました。

 

このブログをはじめる前の話です。

私は昨年の2月、石垣りんさんのお別れ会に縁あって伺いました。

そのとき、初めて谷川俊太郎さんにお会いしました。

今でも山の上ホテルの匂いと、谷川さんの手の温もりは忘れられません。

そして、初めて谷川さんの詩を谷川さんの朗読で直にお聞きしました。

しかも、その詩は、初めて伺うものでした。

『何度も会ったのに
親しい言葉もかけて貰ったのに 石垣さん
私は本当のあなたにあったことがなかった』(石垣さん)という言葉ではじまる詩は、甘ったるい上滑りの弔辞に辟易していた私に衝撃を与えました。

小さなクリエに記録された、雑音の中に埋もれる美しい言葉を私は何度も何度も聞き返しました。

そのような上品で、何も生まない、上滑りの言葉は故人に失礼だと思っていたからです。

『立場が偉いからって、亡くなられた方を良くわからない人間が、大切な弔辞を読むべきでない』 とも思っていました。

谷川さんの詩は、一見、突き放しているような言葉でしたが、なんて暖かい詩なのだろうと思いました。

その故人に対する誠意に迷いが一つも無かったからです。

真剣にその人の事を考えなくては読めない詩だったからです。

雷の音を聞きながら、別な機会に谷川さんの講演会について書こうと思いました。

かわいいマスコットについても・・・


今日は、東京の心臓部にもあちらこちらにも天から剣のように雷の一撃が沢山加えられました。

私は、雷が沢山舞う中、八重洲のビルの中で人生の岐路に立っていました。

そして、僅かでも一歩ずつ歩き始め、遠雷が響く中、『シャガールと木の葉』を繰り返し読んで、晴れ行く空を見ていました。

透明な未来は自分で泳いで行かなくては見つけられない。

雨上がりの塵の無い夕方に、私は谷川さんの詩と共にいられる事を幸せだと思いました。

その気取らない筆致、気取らない鋭い生き方。

谷川先生と徳永先生。

私は、雷に打たれ、滝のような雨に流され、巨大な東京のカオスの地に、偉大な先生を思いながら土に還っていくのだと思いました。

詩は、人を変え、人を向かわせ、人を導くものだということ。

詩のような喜びが起きる地に足のついた生業が、一つずつやっていけたら・・・

そして、それは静かな地滑りのような美しい偶然を生むのです。

それだけを、私は信じて生きているような気がしました。

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