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2006年8月25日 (金)

アナフィラキシーショック/蜂(ハチ)毒の恐さ/対処方法/エピペンを知ろう

ハチに刺されて、気分が悪いといって、亡くなられた方がいらっしゃるとの報道がなされました。

これは、ハチの毒が回った直接的な人体への影響ではなく、『アナフィラキシーショック』という現象が起きたものです。

沢山のハチにいっぺんに指された場合は、ハチ毒の直接的影響も考えられますが、一箇所指されただけで、気分が悪くなるというのは、多くの場合、アナフィラキシーショックです。

これに対する最初にできる救急処置は一つしかありません。

あとは、急いで救急病院へ搬送する必要があります。

アナフィラキシーショックは、薬剤の点滴や内服でも起きるものです。

人体が体外からの異物に対して、急激なアレルギーの連鎖反応を起こす事により血圧が下がり、命にかかわる状態になるのです。

血圧が下がり、意識がなくなり、命が危うい状態を医療用語で『ショック状態』といいます。

微量の動物性毒素を注射すると、通常は生体を守ってくれる免疫システムが作動せず、逆に命にかかわるショック症状が発現することから発見されました。

そこで、このような状態をana(否定の前置語)+phylaxis(防御)、
アナフィラキシー(anaphylaxis)と名づけられ、それによる命にかかわる状態をアナフィラキシーショックと呼びます。

このような状態になると、最初の引き金が引かれてから時間の勝負となります。

異物である動物性タンパクや化合物が人体に取り込まれると、それをキャッチしたアンテナの役割の細胞が様々な物質を血液に放出し、その物質を受け取った次の細胞がまた沢山の物質を放出し・・・と、有害な物質が大量に血液中に放出されてしまいます。

ですから、どれくらい短時間にこの連鎖反応の悪循環を断ち切るかという勝負になります。

アレルギー反応なので、抗アレルギー薬や、抗ヒスタミン薬が良いかもしれない、と思われるかもしれません。

でも、スピードがぜんぜん追いつかないので、こういったときには、特効薬のエピネフリン(アドレナリン)を皮下注射する必要があるのです。

エピネフリンは、アレルギー反応細胞を安定化させ、放出された物質に触れても、自分が物質を放出する事を抑制します。

そのため、連鎖反応のスピードが遅くなり、時間稼ぎができるのです。

エピネフリンを緊急で使用できるようにするため、
エピペンという自己注射キットがあります。

お尻のキャップをとり、服の上からしっかりと勢い良く押し付けると、針が自動的に出てきて、決められた量の薬剤が針の挿入と同時に注入されると言うものです。

アナフィラキシーショックを起こしやすい人のために自己注射キットです。

食事アレルギーのある子供でも、使えるように開発されました。

ですから、大人はもっと簡単です。

林業に携わる方々は、ハチに刺される事が多いので、必携だそうです。

ですから、ホームページのフラッシュもハチの動画となっています。

ただし、これは、上記の通り、救命のための補助的治療となります。

その間に病院に搬送し、免疫物質の濃度を下げる意味も含め、多量の点滴(輸液)が必要になります。

血圧が下がったときには、昇圧剤も用いられます。

どれだけ早くエピネフリンを打てるか。それがとても大切です。

自費で1万円ぐらいですが、もし、ハチに刺されて調子が悪くなった事がある方が屋外で作業しなくてはならないときには、用意しておいた方が良いでしょう。

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