鋳型無くともRNA合成/産総研の快挙
RNAについてまた新しい知見が加わりました。
日本の産総研(産業技術総合研究所)が鋳型無く、RNAの端末を合成する酵素の構造と機能の解析に成功したのです。
鋳型が無いという事は、酵素が自分でRNAを作っていけるという事で、画期的な発見です。
こちらにその報告があります。
これを読むととても面白い事がわかります。
RNAはCCAという配列で終了するわけですが、CをくっつけるときとAをくっつけるときでは、この酵素は構造が変るのです。
端末の形に合わせて構造を変え、CCAと言う配列を自分ひとりで合成して、RNAのたー見ネーションを完成させるという事らしい。
DNAからRNA、RNAからタンパク質という一方通行の生物学からの脱却です。
DNAが無くとも、自由に酵素でRNAが作れるかもしれない。
タンパク質からRNA合成、それがSiRNAとなり、遺伝子を制御するというアクロバティックな設計ができるかもしれない。
この発表は、生物の細胞の中で起きている事は、けっしてリジッドな固定概念では解決できず、柔らかく様々なことが起きている事であると、気付かせてくれました。
これからいろいろな物事を考えるときに、硬直化した考えは捨てて、いろいろな可能性を探っていく必要があります。
10年ほど前、軽い腎不全の患者さんに、論文が出始めていたACE阻害薬を出そうとしたところ、循環器の先生にこっぴどくしかられたことがあります。
『腎不全にACEは禁忌なんだ』と。
時代は移り変わり、先日、アメリカ内科学会専門医の問題(MKSAP)に、糖尿病性腎症が始まりつつある患者さんに降圧剤を出すとしたら何か?という問いの正解はACE阻害薬でした。
ACE阻害薬に、臓器修復過程の損傷を軽度に抑える作用が発見されたからです。
リジッドな固定概念は創造力を枯渇化させます。
日本が世界に誇る発見を報告できたという意味でも、産総研を誇りに思い、素晴らしいと思います。
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