インフルエンザの季節/インフルエンザワクチンのよくある質問2つ
インフルエンザワクチンの季節となりました。
ことしは、こちらの本がお勧めです。なんと、ワンコインで買えて、内容も濃いです。
新型インフルエンザ・クライシス | |
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インフルエンザワクチンはインフルエンザウイルスの不活化ワクチン(ウイルスとしての活性を無くしてバラバラに砕いたもの)です。
ワクチンの摂取は、皮膚の下にウイルスを打ち込むことにより、ウイルスを体に認識させ、本物が来たときにはすばやく抵抗力を発揮するという作業です。
本当のウイルスは喉、気管や肺に感染するので、皮膚の下でしかも不活化されているなら問題がほとんどないというわけです。
『ワクチンって毎年打つのは、一年しか持たないからですか?』
これが一番多くお聞きする質問です。
インフルエンザワクチンは、数年は抵抗力を産生能力をつける(効果を持つ)といわれています。
長い人では生涯にわたり効果が持続する可能性もあるといわれています。
それでは、なぜ毎年接種するのでしょう?
それは、毎年流行するインフルエンザウイルスの型を予想してワクチンを作っているからです。
つまり、毎年、『流行ると予想されるインフルエンザウイルスの型のワクチン』を打っているのです。
ですから、毎年打っている人は、ご自身が持っているインフルエンザウイルス型に対する抵抗力のバリエーションが増えていく事になるわけです。
『一回目と二回目は違うワクチンなのですか?間はどれくらい空ければよいのですか?』
これも良くお聞きする質問です。
一回目と二回目は同じワクチンです。
なぜ、二回打つのでしょうか?
それは、二つの理由が有ります。
一つは、二回打ったほうが抵抗力が体に作られる確率が上がる事。
もう一つは、一回目で打って抗体が作られているまさにその最中に、二回目を打つと、体にできる抵抗力がグンと上がるからです。
お子さんに打つ、ミールビックなどの麻疹ワクチンと同じですね。
この確率的なことと、体に準備される抗体量。これが二回打ちの秘密です。
同じウイルスの型のワクチンでなくては、このような効果は出ないので、一回目と二回目は同じワクチンなのです。
ワクチンを打ってもインフルエンザに罹ってしまうというのは、
ワクチンにより、抵抗力が作られなかった
作られたが抵抗力が十分でなかった
ワクチンにより抵抗力を作りにくいB型だった
流行っているウイルスがワクチンと違う型だった
などによります。
皮膚の下に人工的にウイルスのかけらを打って、抵抗力を作るという作業ですので、どうしてもその効率には個人差がでてきてしまいます。
私は研修医の頃から毎年打っていて、十数年、インフルエンザに罹患したことがありません。
沢山の患者さんの咳やくしゃみを浴びていますが大丈夫です。
ワクチンのお陰だと思っています。
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もう少し詳しくインフルエンザについて知りたい場合はこちらもお勧めです。
パンデミック、という事がどのような事か良く分ります。
タミフルの備蓄に走った日本。その危うさについては昨冬書きました。
新型インフルエンザにタミフルが効く確証はありません。
そんな事ではパンデミックは防げない。
しかも何億円も使って備蓄したタミフルは、流通経路が違うためパンデミック以外には医薬品として通常のインフルエンザには使えません。
そして、有効期間がきたら捨てられる。
私には、それが壮大な無駄に感じられてなりません。
少なくとも、期限が近づいたタミフルを市場に流通させて消費し、新しいタミフルを備蓄するなどの工夫が欲しいところです。
人が生きている限り、感染症はなくなりません。
感染症の制御は、医療の最も古くからあり、なくなることの無い大切な役割の一つです。
これらの本は安価ですので、正確な知識を得ておいて、パニックにならないことが大切です。
どうぞご参照ください。
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