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2007年1月11日 (木)

医療事故と裁判官/裁判の限界2

前日、救急医療の難しさと裁判の危うさの感想をお書きしました。

同様に、飲酒運転後、数十メートル人を跳ね飛ばしたドライバーに危険運転致死傷罪出ないと言い切った裁判官さんもいて社会問題になりました。

『故意に』ぶつけない限り、危険運転致死傷罪にはならないと言うのです。

そして、『事故の起きる前に蛇行運転などの危険性が予見できる場合』と言うのです。

このあたりは、裁判官さんの判断が入る余地の大きいところですが、断罪は避けた。

民意からはるかに離れていると思います。

以前私は、

車を大量生産し、流通量を増やすためにはある程度の人命の軽視はいたし方が無いという法律や経済学的意見は客観論として存在する事は仕方ありません。

でも、私は個人的に絶対に許せない。

殺人だからです。


予見する人なんていなくても、人を数十メートル跳ね飛ばしていたら、その事実だけで異常と考えて良いのでは無いでしょうか。

と書きました。

私は、法の運用が悪しき判例(前例)主義と事務作業に堕落しているのでは無いかと思っています。

きちんと事実を鑑みて、自分の能力の限りの素晴らしい判決を一つ一つ丁寧にしていって欲しい。

だれが、一人一人を見ないで『カゼだから』といって、流れ作業で同じ薬を出す医師にかかりたいでしょうか。

あるいは、所見も取らず、『これまでの前例で言うとこれなので』といって治療を始める医師にかかりたいでしょうか。

私は、極端な話、判例なんていいらないと思っています。

裁判官さんの心に良心の誇りがあると信じたい。

交通事故の賠償額が前例の無い3億円という画期的な判決もなされました。

悪質な過失に対する裁判官さんの画一化を避けた良い判断だと思っています。


なぜなら、それぞれの事例は全て異なっているはずで、前例が役に立たないことの方が多いのでは無いでしょうか。

ある特殊な裁判の結果がなされると、その後の裁判全てに影響を及ぼすというのは、どう考えても努力の省力化としか思えません。

そして、そうしてなされた裁判の結果を国民は受け入れざるを得ない。

一旦判決が出てしまうと、我々には、裁判を再度起こす能力は実際上なくなります。

この事例についても、事実が今後きちんと明らかになるものと思います。

多くの医師や国民が客観的データを入手しているところが今までの事例とは異なる。

裁判官さんのなされた判断の可否も今回多くの方々が眼にすることができます。

中途半端に当事者を断罪して終わってしまう。

医療的な問題は、多くの専門的パラメターが入り込むので、人間関係が中心となる通常の事件とは様相が大きく異なります。

交通事故には専門の鑑識機関がありますが医療には在りません。

まとめると、

1.救急診療は診断が付く前から治療を始めなくてはならない

2.既に致死的状態で搬入されることも多い

3.専門知識に乏しい裁判官が問題のある判決を続けている可能性がある

4.裁判は似て非なるものが判例として流用されたり、裁判の時間を短縮するため量刑を調節することがあり、省力化が優先されている可能性がある

5.そのため、常識では理解できない判決がなされる事が多く、そしてそれが専門知識に乏しい別な裁判官の判例になると言う悪循環に陥る。

 

私は、裁判官さんにはこのままでは、医療的判断は荷が重過ぎるのでは無いかと思っています。

たとえ委託してもその判断は難しい。

すでに、地域医療のために最善を尽くしている、命をすり減らしながらも決して経済的にも恵まれない、良心的な医師個人を攻撃するという事の無意味さを国民が知り始めている。

正しいものはどこにあるかを素直に明らかにして欲しいと願っている。

全ての医師を一方的に悪者にすれば国民が拍手喝采するという時代は過ぎてしまったのです。

次のパラダイムに突入している。

これまでの判決の落としどころとなる、安住の地はなくなりました。

どんなときも情報がオープンにされ、様々な人々がそのデータをもとに、独自に判断している。


その流れの中で裁判官さんが的確な判断を下していくのは難しいのでは無いでしょうか。

そして、医療者の中、患者さんネットワークで行った判断と全く異なる、異質な判断を下す事を繰り返す裁判官さんがいる事まで明らかになってきていると言われています。

今立ち上げられている、医療問題解決の第三者機関の早急な立ち上げと発展が必重要であると考えています。

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