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2007年4月30日 (月)

頭痛薬のメカニズム/良く効くから強いというのは間違いです

頭痛 頭痛
大和田 潔

新水社  2005-10
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頭痛の本を用いた頭痛のお話の続きです。

私は、この本で、どうしてもお話ししたかった事が3つありました。

1.一目でほとんどの頭痛が分かる地図を書く事。
2.頭痛のメカニズムの理解と適切な治療。
3.適切なお薬のご説明と、その不安を取り除く事。

適切な頭痛への理解によって、楽しい日常生活を取り戻す事ができると思ったからです。

当時は救急病院に勤めており、頭痛治療もそれほど認知度が高くなく、是非とも多くの方々に知っていただく必要があると、ただひたすらそのことだけを考えていました。

2この頭痛地図には、できるだけ完結に、ほとんど全ての頭痛を説明できる様にお書きしました。

色々お話しする中で、
『橋を渡って自分がどの変にいるのか』
という感覚が、一番、現場の女性の患者さん方に一番受け入れやすかったからです。

お薬についての質問も沢山ありました。

10 私達、医療者は、プロドラッグという言葉を聞き慣れていますが、多くの方々はあまり聞き慣れない言葉だと思いました。
私は、お薬の説明をする以上、特に痛み止めでは避けては通れない言葉だと思い、一生懸命分かりやすい絵を描きました。

体の中で鍵が作られ(薬剤が代謝を受け)、錠前を開ける(適切な効果を発揮する)、という絵です。(p.151)
この絵を思いつくのはなかなか大変でした。

また、片頭痛の特効薬、トリプタンの作用についても良く説明しました。

通常の解熱鎮痛薬とトリプタンは全く違う薬です。
トリプタンは主に脳の血管に働きかけますが、その作用は実は一過性でありしかもそれほど強くありません。
セロトニンが枯渇していて、大変に不足しているとき、値千金の働きをするだけです。
困った時に差し伸べられる友人の手のありがたさ、にとても良く似ています。
たとえそれがわずかな物であっても、レバレッジが効くのです。

一方、解熱鎮痛薬はどうでしょう。
『頭痛、生理痛、打ちみ、体の痛み、発熱時』とうたわれている事が多いものです。

つまり、全身の不調に働きかけて作用を発揮する。

体の極わずかな臓器だけにタイミングを狙って少量用いる薬と、全身に働くための量を内服する薬。

どちらが強いのかは判断が分かれると思いますが、胃や腎臓、肺にとっては、だんぜん鎮痛剤の方が強い薬です。

鎮痛薬による胃潰瘍や、アスピリン喘息は良く知られた副作用です。

解熱鎮痛薬が腎不全を悪化させることは医療者の間では常識となっています。
市販薬の解熱鎮痛薬も同様です。

鎮痛薬の連用はやめて、専門医による予防薬による治療を導入すべきです。

5
私は、多くの仲間達と、この表紙の右上にあるマーク、頭痛、を取り除くためにこの本を全力で記しました。

国際頭痛学会に間にあったのは、新水社さんのご尽力でした。

約2年前になりますが、その間にも多くの頭痛の知見が発表され、様々な事が明らかになって来ています。

それでも、この本に記した数多くの事は今でも大切な事が多いと思っています。
特にペインフリーやプロドラック、肩こりと間違われる片頭痛のアロディニアの話は、ますますその重要性が再認識されてています。

トリプタンが強い薬、というのは、『この睡眠薬は強いですか?』という質問にも通じます。睡眠薬には睡眠作用、持続時間など様々なファクターがあります。薬の強い、弱いを一言で言うのは難しいものなのです。

これからも、より良い説明と理解に基づいた診療を続けようと思っています。

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