医療におけるクオリア
脳と仮想 茂木 健一郎 新潮社 2004-09-22 売り上げランキング : 40820 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
数年前にいったんクローズした青山ブックセンターの応援に行ったとき、置いてあったものです。いったん読んだ後、本棚にしまってありました。
開業した後に、もう一度読み直しています。
それは、医療システムにおけるクオリアの意味をもう一度考え直してみたかったからです。
クオリアについては、こちらに詳説があります。
頭痛を一緒に乗り切った方から、絵葉書を頂戴しました。
沖縄のアホウドリの写真です。
明るい日差しは、その影から、良い潮の香りのする穏やかな海はその海の色から、もしその場所にたたずめば味わえるだろう安らぎの時間は絵葉書全体から、心に伝わってきます。
しかし、そのすべては私の脳が作り出した仮想であり、同時に、手触れるられるような現実感を伴ったこの感覚はこの絵葉書が持つクオリアでもあります。
それでは、医療機関は?
それは頭痛の本をまさにUNcafeで作っていたときでした。
女性が好む手触りの表紙、デザインを検討していたときです。
この本のカバーは「すかし」になっていて、本体のオレンジ色が透けて文字の色になるようになっているのです。この手触り感!
クリニックに飾っています。
本で飾れるものはそうありません。
この質がこの本自体が放つ品質であり、その中身とあいまって放つ光がクオリアです。
それでは、医療機関は良質なクオリアを人々に生み出す光を放ってきたでしょうか?
茂木さんは「ヒトは仮想と現実に住む二重国籍の民である」と説きます。
仮想を作り出すのは、まだ触れる前に実態が放つ情報などであり、それとそれぞれの人の脳の状況が呼応して作り出すものが、仮想のクリニックです。
そして、実際にクリニックを受診して、さまざまなものを感じていただき、そのかたがたの中に生まれたものが、まさにこのクリニックのクオリアとよぶものになります。
医療コンサルタントさんはよく、「医療のクオリティ」という事についてお話されます。
しかし、利用者の中に生まれる「医療のクオリア」のお話を聞いたことは一度もありません。
明るい日差しの中で良質な診療を行っていくこと。
「狭いエレベーターも行くときはとても不安だけど、診療受けて良くなって、降りるときにはとても気持ちよく感じる」と言ってもらえること。
このクリニックがより良いクオリアを生み出せるように努力を続けようと思います。
私が行ってきた新しいさまざまな試みや、それを結晶化させたいという願いは、実は、このクオリア生み出す実現されたクリニックを生み出すという作業に他ならなかったことに気づきました。
人の脳に宿るクオリアという仕組み。
おとといも、昨日も今日も喜んでくださった方々にお会いしました。
頭痛から開放された方々の脳に、「神経内科」あるいは、「頭痛外来」あるいは、「秋葉原駅クリニック」に対する良質なクオリアが生まれたことをとてもうれしく思います。
これから先、この、クオリアというものに対する感受性を磨いていく必要があると思っています。
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