頭痛専門治療の実際 2
頭痛の治療の実際をもうひとつお話します。
別な患者さんのダイアリーです。
頭痛の無くなっていった喜びが溢れています。
ハナマルをつけてくれていました。
(掲載の良いご了解をいただきました。)
前回は適切な薬剤の適切な使用によるペインフリーの法則についてでしたが、今回は予防薬を使った連発の停止についてです。
片頭痛がやっかいなのは、その痛み自体が強いだけでなく、連発してしまう点です。
連発を起こすメカニズムはいくつか明らかにされていますが、神経と血管のサーキットが形成されて、悪循環が回り続けるという事もいわれています。
この悪循環を断ち切るためには、予防薬を含めた治療が必要となります。
この方は長期間にわたり頭痛が連発してしまい、もちろん市販の薬剤ではダメで、近くの先生の痛み止めもトリプタンもあまり効かないため、外来を受診されました。
実は、片頭痛の発作が起きて時間が経つと、トリプタンの効果は薄くなってしまいます。
消化管の動きが遅くなったり、薬物の吸収が悪くなるからです。
いくつか、そういった重要な点をご説明しながら、トリプタンの使い方をさらにお話したところ、改善して行ったのです。
コメントを書き入れたダイアリーはこちら。
徐々に頭痛が減って行っているわけですが、これは、予防薬を含めた集中的な治療が奏功しているからです。
次に時期を見て、予防薬の減量を行い、単発の頭痛に対してきちんと対応することで、連発フェーズに入らないようにして行けばよいのです。
そのフォローをきちんとお手伝いすること。
その作業が頭痛専門外来のお仕事なのです。
そして、それが安心につながります。フェーズコントロールとはこのことです。
頭痛は我慢すればするほど悪化してしまいます。
お薬をきちんとしたタイミングで少量用いることで、薬物の総量を激減できることをお示しできたと思います。
睡眠不足を続けざるを得ない環境下にいらっしゃる方など、手ごわい頭痛の方もいらっしゃいますが、少なくとも解熱鎮痛薬の大量連用は避けるようにお手伝いできていると思います。
すきっとした青空の下のハナマルが少しでも増えるように。
片頭痛は多くのメカニズムが明らかにされ、良いお薬がこれからも投入される予定です。
頭痛をうまくコントロールするすべを身に着けたり、最新の情報に触れて行くことは大切なことです。
片頭痛は連続すればするほど、治すのに手間と時間がかかるようになります。
我慢しないこと。早めに治療を開始すること。
それがとても大切です。
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