清水俊彦先生のセッション/片頭痛は神経の疾患
昨日、清水先生の頭痛のセッションの司会をさせていただきました。
頭痛診療のオーバービューから最先端の話題までとてもためになるものでした。
セッションの大きな話題は三つでした。
◇頭痛診療の流れ
◇小児の頭痛診療の話題
◇アロディニアについて
なんといっても、片頭痛は血管のメカニズムも大切だけれども、神経の疾患ではないか?という気持ちで診療を続けていた私にはストライクの内容でした。
頭痛診療のお話の伺い方からはじまり、アレルギー疾患、高血圧、うつなどの合併症との関連は、治療薬の選択の面からも大変に興味深いものでした。
また、頭部の画像を撮影する際にはsagital sectionという方向の撮影と、動脈撮影が必須で、一度で済ますべきというお話や、脳波の検査の重要性に触れられていました。
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その後、日本に数百万人いらっしゃると考えられている薬物乱用頭痛のお話をされました。特に配合成分が多種のもの、カフェイン量が多いものは要注意とのことです。
実際、『すっきり感』や『安心感』を求めて、頭痛だけでなく頭痛薬を内服されている方に多く出会ってきたので、自然にうなづいてしまいました。
痛み止めは痛み物質の産生を抑えますが、プラスタグランジンという重要な物質を下げる事により、動脈硬化や高血圧、腎障害を引き起こすといったメカニズムは患者さんへの説明すべき事項だと感じました。
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その後話題は小児の頭痛になり、子供さんの頭痛をきちんと治すということは、苦痛を取り除くというだけでなく、薬物乱用頭痛を防ぐという大きな意味があることを示されました。
このことはとても大切なことです。
親御さんが頭痛の起きるお子さんを何とかしたくて、痛み止めを毎日お渡ししている方に出会ったこともあり、なかなか難しい問題です。
診療所をおとずれる頭痛のお子さんのうち50%以上が片頭痛であるという国際的な統計が示されていました。小児の片頭痛は、小児性発作性めまい、起立性調節障害、周期性嘔吐症と関連があるので留意が必要との事でした。
私もリズミックによる頭痛悪化に留意すべきだと思っておりました。
AVMやモヤモヤ病といった脳血管異常やラトケのう胞、キアリ奇形の鑑別を示され、こういった2次性頭痛の鑑別が小児においては重要とのことでした。
抗ロイコトリエン薬による頭痛予防効果のメカニズムに血小板が関係しているというのは大変に面白く、セッションの後にも質問させていただきました。実は、論文をよく読んでもはっきりしない点だったのです。
次に話題はアロディニアに移っていきました。
アロディニアは三叉神経の非生理的興奮によってもたらされる、主に皮膚の異常感覚です。その発生メカニズムと治療には最新の情報が含まれていました。
何よりも、今後、教科書にも記載されると思われる、ヘルペスウイルスの頭痛への関与についてです。
頭痛の新たな治療について、少し詳しくご教授いただけて、とてもうれしかったです。
詳細は今後論文に報告されるとの事ですので、とても楽しみです。
頭痛治療がまた一歩進歩すると考えています。
多くの方が頭痛で悩まれており、適切な治療やアドバイスを求められています。
頭痛学会長の坂井先生もおっしゃっていらっしゃった、『頭痛治療はメカニズムから考えるべき』という言葉を思い返していました。
緊張しましたが、とても有意義なセッションでした。
脳神経領域は大変に進歩の著しい分野です。
最良の治療を行えるように、勉強しなくては、という思いをさらに強くしました。
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