神経内科医の果たす役割/一つずつ
9月後半から10月上旬は大変に忙しい週でした。
いろいろなものの合間を縫って、様々な所へ御邪魔いたしました。
10月6日には、東京医科歯科大学へ御邪魔し、神経内科医としてどのように暮らしてきたか、プレゼンテーションを行いました。
こちらは、クリニックのホームページです。
神経内科医として、その特性を生かして、人々のお役に立つ医師としての模索を少しお話しました。
都市の中で、クリニックの形態は工夫する必要があります。
IP20のシステムを入れた汎用システムを用いている事を説明しました。
どんな形にも対応できます。
同時に、待ち時間が外でもわかり、順番取りができるシステムのアイチケットを取り入れていることもお話しました。
私は他の先生と同じように、ただひたすら、様々な病院でその場に置いて一生懸命働いてきました。
私が神経内科医を選んだ理由は、非常に医療の原点に近いと感じた点でした。
今では、CTやMRIもありますが、少し前までは、患者さんのお話される病気の様子(病歴)やその時の症状(身体所見)が全てでした。
ですから、ひたすらお話を御伺いし、ひたすら診察する必要があります。
そこにしか答えが無いのです。
神経の病気は採血や心電図などの検査に頼る事ができません。
その後、様々な経験をしました。
薬物の調節とリハビリテーションを組み合わせて、患者さんのお役に立てるシステムを立ち上げていた頃のお話をしました。
様々なニーズを受けて本を作ったこともお話しました。
数年間で様々な治療方法の進歩もありましたが、今でも頭痛の本は理解の入り口の本として患者さんのご説明にお役に立っています。
子供たちが心の準備をして医療機関にかかるための本を国連大学さんと出版した事・・・診察をスムーズにするための本では有りません。
医師も生活者の一人で、医療が生活と切り離されたものではないという説明をして、安心してもらおうと思いました。
出版には至らなかったけれど、神経内科医の説明のために絵本を創ったこと・・・
(この絵はリハビリテーションの部分です。この冊子は大好評で、コピーが繰り返されているようです。)
日本中の素晴らしい先生にお会いし、医療システムのご苦労を御伺いしてきました。
数年かけて毎年まとめてきた結果は、厚生労働省の研究報告書として今年初旬にまとめられました。
私達はメタボリックシンドロームの結果起きてくる、脳卒中を良く拝見します。
ですから、専門の先生の支援を受けながら、自分達で糖尿病や高血圧の管理も行う必要があります。
認知能力、麻痺、家族の支援の違いを考えながら、薬物の数、種類まで工夫する必要がありますが、それは、患者さんの検査値の数字には現れない部分で、私達は腕組みをしながら智恵を絞ります。
日本の様々な場所ででメタボリックシンドロームのお話をしてきましたが、現場のご苦労はまさにここにあると思います。
ですから、高齢者の薬の飲み忘れがないなどのメリット示しながら、ある種の高血圧の薬剤1剤にまとめる有意性の日本初の論文を書いたりしました。
在宅医療をしていた頃、胃瘻部分のただれが酷い患者さんが居ました。
状態はより悪いのに、胃瘻はとてもきれいな方もいらっしゃいました。
そのケアをする上で、胃瘻部分の病理は欠くことができません。
私は、そのケアをする方々のお役に立ちたく、神経内科学会総会で「神経ではなく」皮膚のケアを発表すると同時に論文を書きました。結構、いろいろな先生に質問を頂戴した事を覚えています。
皮膚のケアの点から、愛育病院の中林正雄先生にお会いした事もとても良い経験です。クリニックのリネンは全て、中林先生にご評価を受けたクオーレアモーレさんの特殊な生地で作られています。
子供たちが健やかに育っていく上で、社会の一員としてのマナーを身につけ、 自由にはつらつと生きて行く事をお話したこともありました。
その論文が、グッドデザインプレゼンテーションにつながり、2007年11月6日に行われるミッドタウンでの講演会へとつながっています。
私達は、非常に泥臭く、粘り強くずっとこうして暮らしてきました。
そのために、身に着けたものも沢山有ります。
(ほぼ突然)75歳以上の方々へのかかり付け医の方針が発表されました。
でも、なにも考えなくても、今までもそうしてきたので、神経内科の先生はかかり付け医になりやすいと思いました。
私は、ニーズに応えるところに医療は存在すると思っています。
大学病院で疲れている先生方、そして、これから世の中に出て行こうとしている若い先生方にエールを送りました。
一つずつです。
先ほど、米国内科学会の翻訳記事を終え、日経ビジネス掲載予定の頭痛の原稿の構成が終わりました。
本当に一つずつです。
でも、それがいろいろな方々のお役に立つのなら、短い数十年の人生、がんばって生きていけるというものです。
医科歯科の会議室に集まった方々の熱気から、まだ捨てたもんじゃないという励ましをいただきました。みんな、がんばっていきましょう。
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