片頭痛の治療はシンプルに

頭痛の原因は数多くありますが、実は、慢性頭痛では、片頭痛と群発頭痛の２つがほとんどだと考えています。筋肉由来の緊張型頭痛もありますが、激烈な事は少ない印象があります。

頚や、顎関節症など筋骨格系の頭痛もそれほど多いものでは無い印象です。

こんな患者様がいらっしゃいました。

左の側頭部に、ずきんずきんする痛みでない引っ張られる様な違和感があり、数ヶ月つづいていました。

歯科や整形外科に行かれたもののあまりよくならず、『頭痛ではないけれど、痛み止めも効かないし、相談に行ってみるか・・・』と言う事で外来にいらっしゃいました。

神経内科的診察では、三叉神経の枝の一部に感覚障害がある様にも見えたため、もしかしたら、皮膚のブツブツはないけれども、帯状疱疹かもしれないと思い、抗ウイルス薬アシクロビルと数錠だけ片頭痛特効薬を処方しました。

すると、みるみる間に痛みは取れ、片頭痛特効薬も良く効き、頭全体に広がっていた痛みも消えました。

女子医大の清水先生がおっしゃる様に、頭頚部の疼痛に帯状疱疹ヘルペスウイルスが関与しているというのはホントだと実感した次第です。

メデタシメデタシ・・・　のはずだったのですが・・・

その患者さんは半年後、また外来にやってきました。
問診票は頭痛となっていて、カゼではありません。

『何だろう・・・』心配な予感が走ります。

『前回とは全く違うものすごい連日の左側の痛みで、寝れません。』

拝見すると、左側のまぶたが落ちていて、涙が出て、鼻が詰まっています。
その時の発作は、明らかに群発頭痛でした。

『それは、群発頭痛という耐えきれない痛みの発作をだす頭痛です。治療薬と予防薬を早速始めましょう！』

『ええ・・・そうなんですか？寝られないし、頭痛で起こされるしで、びっくりしました。くも膜下出血かとも思いました。でも、頭痛なんで、今回は直接伺いました。あーあ、なんか災難な年だなぁ。今年は。』

『そうがっかりしないで。がんばりましょう。やはり脳出血は心配ですから、画像で確認しようと思いますけれども、治療も併行して進めましょう。』

『・・・しょうがないですよね。お願いします。』

その次の日、患者さんがまたやってきました。

『先生！すっごい良くなりました。MRIも取り終わったので帰りに寄らさせて頂きました。ホントありがとうございます。』

私もホッと胸を撫で下ろしました。

今回もこの患者さんは、三叉神経領域に異常があり、抗ウイルス薬を処方したのですが、著効しました。治りにくい頭痛には、ヘルペスウイルスが関与している事も多いと思っています。

日経ビジネスに群発頭痛の記事を書きました。
この方の最初の頭痛ももしかしたら、非典型的な群発頭痛だったかもしれません。
群発頭痛も、色々なパターンがあり、そういった方々を含めると決してまれな頭痛ではないと思っています。

頭痛はいろいろな事で起きてきますが、まずはオーソドックスにシンプルに内科疾患の診断で行くことが大切だと思っています。