豚インフルエンザはインフルエンザ/落ち着いて見守りましょう
豚インフルエンザがメキシコで流行しているとの報道がなされています。
新型鳥インフルエンザは豚を経て、人間にパンでミックを起こすのではないかと予想されていました。そして、実際ヒトーヒト感染を起こす新型インフルエンザが生まれて流行し始めているようです。
ですが、Update: Swine Influenza A (H1N1) Infections - California and Texas, April 2009 こちらを読むと、回復されている方も多く、これまで警戒されてきた鳥インフルエンザ(H5N1型)とは異なっています。
感度と検出速度が高いので、クリニックで採用しているキット、イムノエースFlu。
B型インフルエンザでもこれぐらいはっきりラインが出ます。
ラボでウエスタンブロットなどブロッティングをされた方はわかると思うのですが、バンドが出るかで無いかはバンドのコントラストが重要です。
バンドが赤だったり青だったりすると、S/N比が小さいため、ウイルス量が少ないときにはとても判定が難しくなります。いくつものキットを比較し、最近はこちらのキットに落ち着いています。
実験では二次抗体を放射線ラベリングしたり、蛍光ラベリングして定量して、閾値以上を陽性にしたり定量化したりするのですが、臨床現場では無理です。
可視光線を用いて肉眼で判断(スキャン)している以上、金コロイドの赤ではなく、このキットのように白金コロイドの黒を用いるのがベストと考えています。
臨床の検査も、ラボで行われているアッセイとなんら変わらないことを示しています。
研究室での研究の知識が臨床に役立ちます。
本題にもどりましょう。
またお会いさせていただく予定になっている国立感染症研究所の岡部先生が強調されていらっしゃったことですが、鳥インフルエンザなどの新型インフルエンザであっても、“インフルエンザウイルスである”ということが重要だと思っています。
豚インフルエンザは、未知のコロナウイルスであったSARSのように、まったく未知のウイルスではありません。変化している可能性はありますが。
今回のメキシコの豚インフルエンザは新型であっても、A型のH1N1インフルエンザの一種ですから、従来のキットでもA型インフルエンザとして検出されると考えられます。
ですから、サンケイエクスプレスにお書きした従来のインフルエンザの予防方法がそのまま有効です。
また、インフルエンザウイルスは半径数mのヒトからヒトへの感染力しかありません。
浮遊粒子を飛散させるための換気をすると感染力もずっと下がります。
パンデミックとなった際、“発熱外来”と呼ばれるインフルエンザ専門外来が、屋外の広い場所に作られる予定になっているのもそこにあります。
部屋の湿度と換気が大切です。
日本での発症があったとしても、落ち着いて対応すれば大丈夫です。
なぜなら、私たちは毎年、何種類ものA型インフルエンザウイルスの流行を乗り越えているのですから。
そこに、バリエーションが増えただけです。行動計画に沿って行動しましょう。
たとえ豚インフルエンザであっても、ウイルスが同じなので、感染の様式、振る舞いなどは通常のインフルエンザウイルスとなんら変わることはありません。
ですから、予防方法もまったく変わりません。
免疫を持っているヒトがいないというだけです。
その点も、実は毎年形を変えて日本にやってくるA型インフルエンザとあまり変わりません。
豚インフルエンザはまったく未知のウイルスではなく、インフルエンザウイルスの一つであると言うこと。
このことは、もう少し強調されて良いと考えています。
追記
こちらに記載されていますが、H1N1型は昨年末~今年の日本のインフルエンザワクチンに含まれています。
また、豚インフルエンザの遺伝子を調べたところ、豚、鳥、ヒトのインフルエンザが混じった新規のものという報告もあり、薬剤の耐性やワクチンの効果も含めて、より新しい知見が今後もどんどん加えられていくものと考えられます。
新型発生メカニズムなどはこちらの記事が参考になります。
このように、時間を追ってさまざまなことが明らかになってくるので、遅れないように必要な手を打って行けばよいと思っています。パニックに陥らないことがもっとも重要です。
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