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2009年5月21日 (木)

正しいけれども非現実的/大切なのは実際の生活/インフル・トンフル・トリフル

新型インフルエンザ(豚型FLU・やがて、鳥型の新型(トリフル)が出ると紛らわしくなるので、トンフルと呼びましょうか)に対して、「科学的にまんえんする形態を明らかにするために、できるだけ全例の遺伝子検索を徹底させたい」と厚生労働省が発表していました。
疫学的には正しいかもしれない。

「あなたは新型インフルエンザ患者を診た。だから濃厚接触者になる。従って1週間の医業停止が望ましい。」という通達。
理論的には正しいかもしれない。

でも、実際の現場からは乖離しています。
大切なことは、トンフルを季節性の通常インフルエンザ(インフル)とそれほど分けて考える必要があるか否かということです。

インフルが流行する季節にまで、トンフルの流行がずれ込む可能性もあります。
毎年インフルが流行り、何万人もの方が罹患します。
これから、全例に多大なコストをかけて遺伝子検査をして、トンフルであるか否かの調査をする必要があるのでしょうか。

トンフルは前提条件になっている簡易検査をすり抜けやすいとも言われています。
簡易検査陽性者に遺伝子検査を行うということ自体が、疫学的に破綻しています。
しかも、臨床的にはトンフルとインフルは区別できません。
そこに全ての回答があると思っています。

まだ明らかになってはいませんが、トンフルは強毒性ではないようです。さらに、通常の治療で回復する疾患のようです。

私は、A型インフルエンザと診断された患者さん全てに遺伝子検査をする必要性は無いと考えています。
各地、あるいは各国のトンフル発生例が報告されていますが、それもナンセンスです。
遺伝子検査をする必要は無いと実際的な判断をしたり、そういった設備の無い国々(地域)は発生例が少なかったり、報告が無いので、患者数を示す指標にはなりません。

実際、首都圏では遺伝子検査を行っていませんので、インフルにどれぐらいトンフルが混じっているかも不明です。東京ー大阪ー神戸の人の移動数を考えても、首都圏には沢山のトンフルが持ち込まれているはずです。
でも、遺伝子検査を行っていないからといって、首都圏でバタバタと人が倒れていっているわけでもありません。

まんえん期に入り、散発的にトンフルがインフルに混じって発生するような場合、発熱外来のような対応は適切ではないと考えられます。あらかじめ知る由がないからです。海外渡航、関西への移動などの経験の有無は既に無意味になっています。

さらに、トンフルを診た先生を隔離しようとするなんていうのは愚の骨頂です。

すでに世の中にトンフルがまんえんしているのに、発症してもいない人を社会から隔離して何の意味があるのでしょう。
首都圏で発熱の患者さんを診察した医師の幾人かは、トンフルに触れているはずです。隔離しなくても社会的に何の問題も起きていません。
ただでさえ不足して過労に倒れそうな現場から、第一線の優秀な先生を離脱させて何の意味があるのでしょう。頭でっかちの間違い判断です。
今後、一般のカゼ、インフル、トンフルが患者さんとして医療機関をランダムに訪れることになるでしょう。
どうやって医療者が、トンフルに触れたかどうかをリアルタイムに判断するのでしょう。
既にまんえん期に突入していることを行政は自覚するべきです。

現在の状況、ウイルスの毒性を鑑みて柔軟に対応しないと、医療システムや経済が得るものが何も無いまま、多大な打撃を受けることを、今回の騒動でみんな学んだのではないでしょうか。
別な弱毒型のウイルスがやってくるとしたら、トンフルの他にまた水際作戦を繰り出せるでしょうか。不可能です。
つまり、新型強毒性トリインフルエンザ(トリフル)に対する対策をトンフルにもそのまま採用したことが過ちのひとつで、過剰過ぎてしまったともいえます。さらに、それでも、食い止めることもできずに、まんえんしている。

私たちが病に倒れず、社会活動を行える。

そのために医療システムは存在する。

その実際の基礎をきちんとわきまえないで、「新型=隔離」「新型=遺伝子検査」といったステレオタイプな対応しかしないから混乱が起きているのです。

大切なことはひとつ。
今のところ、トンフルは、いつものインフルエンザと同じで大丈夫なようだ。だから、季節性のインフルと同じように予防して、同じように治療すればよい。ということです。

トリフルのような恐ろしい何者かが迫っているような報道は自粛すべきです。
落ち着いて、毎年の冬にやっているようなことを今年は夏にもすれば良いだけ、ということを報道すべきです。
通常のインフルが流行っている時期にも、マスクで予防していない人がほとんどでしょう。マスク売り切れもナンセンスです。

疫学的にやりたいこと、理論的に正しいこと、が、実際の現場で正しいとは限らないということです。全例PCR(遺伝子検査)の方針はもう止めることです。首都圏でも既に混じっているでしょうから。

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