臓器移植法改正案/前進すべき問題
子供さんが海外でしか移植を行えない現状を救うため、法案の議論が続いてます。
海外の移植を行うということで、問題を先送りすることはもうできません。
臓器移植法改正案 には、4つの異なる案が提出されています。
それぞれ4つは、対案として一つの会議が提出したものではありません。
実は、それぞれ異なる政党が出したものと言うことがNHKで報道されていて、「ほう」、と見入ってしまいました。
A案 自民、B案 公明、C案 社会、D案 自民・民主有志といった具合です。
患者さんがたはA案を支持しています。
現実的なところからきちんと法整備をしたいという意見から、虐待児からの摘出が阻止できない現状(!)からは、もっと法律を厳しくすべし、という意見までいろいろでした。
人は人の死を考えると立ち止まってしまう。哲学でも、生と死は永遠のテーマです。
でも、私たちは苦悩しながら現実を生きなくてはならない。
最近の医療は、スパゲッティ症候群と揶揄されるように、色々な機械をつけてまで延命するよりも、その人らしさを大切にして、「ここまででよいと思う」という着地地点を模索する「優しい」医療へ変化してきていると思います。
高齢の患者さんの御家族に、「こういった措置をすれば延命できますが・・・」と提案ても、「いえいえ、もう十分です。天寿を全うさせてあげてください。」と応える。
私は、そういったやり取りをご家族と悩みながら沢山行ってきました。
医療福祉チャンネルで放映されたこともあります。
こういった場合、家族が最愛の者の命を見限ったというのでしょうか。
いえいえ、全く違います。
逆らえない自然の摂理に従おうとしただけです。自然な気持ちです。
悲しいことではあるけれども、非難されるものでは決してありません。
ご家族にも患者さんにも何も非は無い。
そこに横たわるのは人知を超えた「自然」というものだけです。
つまり、人の命というのは、自然の大きな逆らえない流れの中で、ちょっとだけ変化を与えることに対して、お互いにある程度の裁量が任されているだけです。
医療もその中の一つに過ぎないと思っています。
社会環境の整備も、教育も、福祉も、お互い助け合いの命を守るシステムの一つです。
それはしかし、古来からそういうものだったと思います。
個人の間に考の幅があったとしても。
大切なことは、海外の子供の臓器摘出には目をつむり、法律の整備を先延ばしすることが許されないということです。
自分たちで、自分たちの責任で国を作る。その自覚が必要です。
もちろん、人間がやることなので、さまざまな問題があるでしょう。
もし、子供たちの移植を国内で禁止するのなら、海外の移植も自粛すべきかもしれません。
日本の国民として、小児の移植をする法律の改正自体を行わない、あるは、行わない法律へ改正する判断をするなら、それはつまり、小児の移植は許さないコンセンサスとなります。そういった国民が、海外の子供の臓器で行うなら良い、というのは倫理的にもおかしい。
移植法案に反対することは、お金を得られた人だけ海外で移植できるという、公平性や国際協調と全く反対の方向へすすみます。理念が正反対でしょうに。
もし、臓器移植に反対するのなるのなら、すべからく、国民は国内外の方法を全てあきらめるということを選択することになります。
決断すべきです。
私たちは「人の命への重責を負いながらも、もう一つ別の命を救う」、という苦しいけれども、現在では選択せざるを得ない現状を。
テクノロジーが発達して、人の臓器を持つキメラ動物が登場するまでは。そう遠い未来ではないと思います。
自分の子供が脳死を経て亡くなられた親御さんが、自分の子供の臓器だけでもどこかで生きていれば救われたと思う・・・
とある番組でお話されていたことが今でも記憶に残ります。
待ったなしの子供たちに希望を与えられんことを願っています。
大人のサボタージュと責任回避は許されません。
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重いテーマですが、人間最後には経験する死を深く見つめなおすいい機会になりました。
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