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2010年3月 7日 (日)

切り取られた永遠の命/ありがとう、スタッフのみんな

「待つ」ということ (角川選書) 「待つ」ということ (角川選書)

角川学芸出版  2006-09
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この素晴らしい本の表紙を飾っている写真家さんに興味がわきました。 植田正治さんという写真家さんです。

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宮沢賢治を彷彿とさせる、美しい写真です。 何回見ても飽きないすばらしさ。
一瞬の太陽の透明な輝き、命の輝きを閉じ込めています。

どこが、彼の写真の素晴らしい所なのでしょう?

それは、被写体が決して美人であったり、美男子だったりしないところです。

そこにある、存在するということに対する問い掛けの問いに対する答えを、なんと、白黒の画像で答えてしまっているということです。

そこにある存在に、「君たちは存在しているんだよ」と永遠の命を与える優しさに溢れています。

たぶん既にもう亡き者になっている被写体のみならず、静物にまで植田さんのシャッターによって永遠の命を得たのです。
動きを一瞬で止めた画像も多い。
彼の写真は儚い命に永遠をを閉じ込めるマジックを持っているものだと思いました。

空がスカッと抜けている構図が多く、中原中也の詩のような透明感が溢れています。

良書は心に光を照らします。
ささやかでも、人々になにか良いものをお渡しできたら、と、スタッフとお話していたところでした。

「僕が“時短”で能率を上げられないから、皆ににお世話かけてしまってるね。」と話すと、彼らは「私は時短、キライです。」と返しました。
「時短なんて、世の中にホントにあるのでしょうか?雑なのではないでしょうか?それでは意味ないです。」と。

申し訳無い気持ちでいっぱいです。
彼らは正しい。
仕事に必死になると、省略したり、能率よくすることに偏りがちです。
待つこと、切り捨てる事ができない世界に生きていることを忘れそうになります。
ありがとう、みんな。
彼らは私の宝です。

そんな気持ちの中で、写真集を眺め続けました。
永遠とは何かを感じさせる心引き締まる写真集です。

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